第1-5回はレーザーの基礎及び応用について論ずる。レーザーの発生に不可欠な光の誘導放出の理論と光共振器の原理を説明したのち,各種レーザーの作動原理とそのシステム構成及び動作特性と制御技術について紹介し,これらの工学的応用,医療分野での応用例を紹介する。第6-11回は荷電粒子ビーム発生装置としての加速器の一般理論,電磁場中での荷電粒子の振る舞いを論じたのち,電子加速器の原理及びその理工学・医用応用の具体例について解説する。第12-15回はイオンビームに焦点を絞り,その発生手法としてのイオン源及び各種加速器の原理を解説したのち,理工学分野及び医療分野での応用の現状を紹介する。
本講義を履修することで,次の能力を修得する:
1) レーザーの基礎としての誘導放出及び光共振器の理論,及びそれに基づく各種レーザーの作動原理とシステム構成を説明できるようになる。
2) 電磁場中の荷電粒子の運動や荷電状態変換等を含む加速器物理の基礎が理解でき,さらに高エネルギーの荷電粒子ビームを得るために必要な電子銃・イオン源,高電圧発生装置等に関わる加速器工学について説明できるようになる。
3) これらの量子ビームが理工学や医療の分野でどのように応用されているか,説明できるようになる。
レーザー,誘導放出,光共振器,加速器,電子ビーム,イオンビーム,量子ビーム,工学的応用,医用応用
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の授業で出席を確認する。
授業の前に,課題欄に記載されている項目について予習しておくこと。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | レーザーの基礎と誘導放出 | 反転分布の物理的意義を理解し,誘導放出を理解し、それらの説明ができるようになる。 |
第2回 | 光共振器理論 | 電磁波の伝搬の式を導き,光共振器理論を理解し、それらの説明ができるようになる。 |
第3回 | レーザーシステムの動作特性と制御 | 4準位系,3準位系のレーザーのレート方程式解析,およびパルスレーザーの時間発展問題を理解し、それらの説明ができるようになる。 |
第4回 | 各種レーザーとその工学的応用 | レーザーの工学応用例を様々に理解し、それらの説明ができるようになる。 |
第5回 | レーザーの医学利用 | レーザーの医学応用例を様々に理解し、それらの説明ができるようになる。 |
第6回 | 粒子加速器の基本原理と種類 | 静電加速と高周波加速の違い,加速粒子による加速器の構造の違いを説明できるようになる。 |
第7回 | 高周波加速空洞とビーム加速(林崎規託) | 高エネルギービーム加速における高周波加速空洞の重要性と動作原理を説明できるようになる。 |
第8回 | ビームダイナミクス | 荷電粒子の運動法則と各種磁石の作用を説明できるようになる。 |
第9回 | 電子加速器の動作原理 | 電子加速器(リニアック,マイクロトロン,ベータトロン,シンクロトロン)の動作原理を説明できるようになる。 |
第10回 | 電子銃と高周波源の動作原理 | 電子銃,クライストロン,マグネトロンの動作原理を説明できるようになる。 |
第11回 | 電子加速器の医学・工学的応用 | 電子加速器の医療応用や工業応用を説明できるようになる。 |
第12回 | イオン源及びイオンの荷電変換 | 各種イオン源の原理と構造,及びイオンと物質の相互作用によるイオンの荷電状態の制御について説明できるようになる。 |
第13回 | イオン加速器の動作原理 | 各種イオン加速器の動作原理とその構造について説明できるようになる。 |
第14回 | イオン加速器の工学的応用 | 材料の加工と分析,半導体製造等の工学的応用について説明できるようになる。 |
第15回 | イオン加速器の医学利用 | ガン治療,医療用ラジオアイソトープ製造等へのイオン加速器の応用について説明できるようになる。 |
特になし
講義資料は必要に応じて講義中に配布する。
参考書:
Amnon Yariv, 「光エレクトロニクスの基礎」, 丸善, ISBN-13: 978-4-6210-3310-4 (1974) (in Japanese).
John J. Livingood, "Principles of Cyclic Particle Accelerators", D. Van Nostrand Company, Inc., ISBN-13: 978-0-4420-4822-8 (1961).
Stanley Humphries, Jr., "Charged Particle Beams", John Wiley & Sons, Inc. ISBN-13: 978-0-4716-0014-5 (1990).
レポート及び各授業の最後に実施する小テストにより成績評価を行う。
学部レベルの数学,古典力学,量子力学,電磁気学,統計熱力学を修得していること。