人間-機械系の設計時に,ユーザであるヒトの経験や体験をサイエンスに基づき戦略的に最適化していくための基礎を学ぶ.具体的には,バーチャルリアリティや福祉機器,感覚代行機器,ブレインマシンインターフェースなど,成功(あるいは失敗)したマンマシンインターフェースや日常商品の具体的な事例を挙げながら,その設計思想の背後にある脳科学や生体工学といったサイエンスの基礎的な項目を学習する.参加者が自分自身の身体をハッキングし様々な感覚を経験する体験的な講義内容を含みながら,一連の講義を通じて,ユーザの感性や感覚・知覚体験を理解・評価するセンスを養い,最終的なユーザであるヒト側の感性や感覚から遡って機器やシステムを設計するという発想を身につける. 主な内容は下記の通り.
1.感覚知覚の基礎・人の感覚
2.感覚知覚の基礎・物理と心理の対応
3.脳の情報処理容量制限と注意・不注意
4.学習と臨界期,脳の可塑性
5.身体の制御過程と内部モデル,自己身体制御感覚
6.錯覚を利用したデバイス・システ ム設計
7.自己・他者の認知過程,心の理論
講義全体を履修することによる具体的な到達目標は下記の通りある.
1.ヒトへの情報伝達機器が利用している様々な錯覚を理解する.
2.物理量と心理量の対応という考え方や,その工学的応用 について理解する.
3.ヒトの脳の情報処理容量制限と不注意による見落としを 考慮した視覚情報の提示方法,エンタテイメントへの応 用について理解する.
4.福祉機器などヒト側の感覚知覚系の要因により必ずしも 有効に機能しない場合が想定される機器や,逆にヒト側 が適応することで成立する機器の原理を理解する.
5.ヒトの身体制御過程の基礎を理解する.同時に,ヒトと 機械が協調して動作する事例を通じて,機器とヒトの境 界がユーザから見て心理的に溶け合い曖昧になる機器開 発の手法を理解する.
6.各種触覚ディスプレイやバーチャルリアリティ機器の設 計思想と今後の展望について理解する.
7.視覚や触覚,自己受容感覚といった複数感覚の統合を通 じて,ヒトが自己や他者を理解する情報処理過程や,そ の工学的応用を理解する.また,ロボットや AI のような 人工物の意識を巡る議論と,そこから派生しうる社会問 題について理解する.
この科目は,学修目標の
1.【専門力】基盤的な専門力
の修得に対応する.
生体システム、身体運動、感覚知覚、認知,脳,マンマシンインターフェース
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義と議論を中心に進める。授業内容の理解を確認するため、適宜レポート課題を課す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 感覚知覚の基礎・人の感覚 | ヒトへの情報伝達機器が利用している様々な錯覚を理解 する. |
第2回 | 感覚知覚の基礎・物理と心理の対応 | 物理量と心理量の対応という考え方や,その工学的応用 について理解する. |
第3回 | 脳の情報処理容量制限と注意・不注意 | ヒトの脳の情報処理容量制限と不注意による見落としを 考慮した視覚情報の提示方法,エンタテイメントへの応 用について理解する. |
第4回 | 学習と臨界期,脳の可塑性 | 福祉機器などヒト側の感覚知覚系の要因により必ずしも 有効に機能しない場合が想定される機器や,逆にヒト側 が適応することで成立する機器の原理を理解する. |
第5回 | 身体の制御過程と内部モデル,自己身体制御感覚 | ヒトの身体制御過程の基礎を理解する.同時に,ヒトと 機械が協調して動作する事例を通じて,機器とヒトの境 界がユーザから見て心理的に溶け合い曖昧になる機器開 発の手法を理解する. |
第6回 | 錯覚を利用したデバイス・システ ム設計 | 各種触覚ディスプレイやバーチャルリアリティ機器の設 計思想と今後の展望について理解する |
第7回 | 自己・他者の認知過程,心の理論 | 視覚や触覚,自己受容感覚といった複数感覚の統合を通 じて,ヒトが自己や他者を理解する情報処理過程や,そ の工学的応用を理解する.また,ロボットや AI のような 人工物の意識を巡る議論と,そこから派生しうる社会問 題について理解する. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に指定しない。
適宜、資料を配布する。また、関連する参考書を紹介する。
授業における議論への参加と議論への貢献の高さ(30%),課題などの提出物を総合し(30%),最終提出課題の成績(40%)と併せて評価する。
心理学や認知科学,メディアアート,哲学,制御関連の科目を履修していることが望ましい.