本講義では、物質のもつ化学エネルギーとその変換,燃焼の熱力学,先端的な燃料電池や二次電池,エンジンサイクル,コージェネレーション,原子力エネルギー、CO2隔離技術などを取り上げることで,現代エネルギー変換工学の広範な知識を提供する。
現代の機械工学者はさまざまな形態のエネルギー変換を取り扱う必要があり、またその高度化のために変換の原理原則に立ち返った取り組みが必要とされる。本講義では、様々な事例の背後にある基本原理を理解し、その応用と課題を学ぶことで、当該技術の高度化に資する基盤学理を身につけ、人類共通の課題である地球環境とエネルギー問題に取り組むための素養を修得することを目指す。
この科目は,学修目標の
6.機械工学の発展的専門学力
7.専門知識を活用して新たな課題解決と創造的提案を行う能力
の修得に対応する.
エネルギー変換、燃焼反応、化学反応、電気化学反応、内燃機関、環境低負荷高効率発電技術、燃料電池、二次電池、コジェネレーション、再生可能エネルギー、原子力エネルギー、CO2固定化技術
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義を中心とし、授業の中で演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション(エネルギー変換工学とは) | エネルギー変換の環境保全やエネルギーの有効利用の上での重要性の理解 |
第2回 | 物質の化学エネルギー,エンタルピー,ギブスの自由エネルギー | 物質の化学エネルギーや他のエネルギーとの相互関係の熱力学からの理解 |
第3回 | 化学反応 | 燃焼や改質などの化学反応についての基礎的な理解 |
第4回 | 反応熱と理論燃焼温度 | 反応熱と理論燃焼温度の理解と計算 |
第5回 | 化学平衡と水素製造 | 化学平衡の理解と水素製造、水素を基盤とするエネルギー有効利用 |
第6回 | 内燃機関(レシプロエンジン) | レシプロエンジンの各種サイクルの仕組みとその制御に関する理解 |
第7回 | 内燃機関(ガスタービン) | ガスタービンの仕組みとその原理に関する基礎的な理解 |
第8回 | 電気化学反応 | 電池系で生じる電子を伴う化学反応の基礎的な理解 |
第9回 | 燃料電池と二次電池 | 化学エネルギーから電気エネルギーへの変換と電力貯蔵の基礎と応用事例 |
第10回 | CO2固定化技術 | CO2の地下貯留や原油増進回収技術に関する理解 |
第11回 | 原子力エネルギー | 原子力エネルギーと原子力発電の基礎的な理解 |
第12回 | 環境低負荷高効率発電技術 | コンバインドサイクルや石炭ガス化発電などの高効率発電技術の理解 |
第13回 | コジェネレーション、再生可能エネルギー | 熱と仕事をともに抽出するデバイスの仕組みとその制御、および太陽,風力,バイオマスの理解とその実際の理解 |
第14回 | エネルギー変換に関する総括 | エネルギー変換の総合的な理解 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
必要に応じて資料を配布
JSMEテキストシリーズ「熱力学」日本機械学会
エネルギー変換工学における学習項目の修得と理解を評価する.講義回数に応じた重み付けで授業中の小テスト、演習、レポート、総括回の成果により評価を行う.総括回の詳細は当該年度授業内でアナウンスする.
熱力学(機械)(MEC.E201.R)、伝熱学(MEC.E311.A)、基礎流体力学(MEC.F201.R)、実在流体力学(MEC.F211.A)を履修していること,または同等の知識があること。