この授業では,これまでの「材料力学」や「弾塑性力学」で習得した力学の基礎に基づき,次の点を中心に講義する.
1.破損事例とその破損の法則の紹介
2.線形破壊力学の基礎
3.破壊じん性
4.疲労強度,疲労き裂の発生機構と進展機構
5.非破壊検査
6.強度設計の基礎と手法
1.過去の破損事例に基づいて設計上の危険を理解している.
2.エネルギ解放率の原理を理解している.
3.線形破壊力学の原理を理解している.
4.強度の基本的特性,疲労強度,強度設計の基礎について理解している.
5.機械・構造物の適切な非破壊検査が選択できる.
6.破壊を防止する強度設計が適切に行える.
この科目は,学習目標の
6.機械工学の発展的専門学力
7.専門知識を活用して新たな課題解決と創造的提案を行う能力
の習得に相当する.
破壊事故,き裂,エネルギー解放率,応力拡大係数,破壊靭性,R曲線,疲労,非破壊検査,破壊制御設計
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
前半で材料強度の基本特性ならびに破壊力学の基礎を理解してもらい,後半でその応用について学んでもらいます.理解を深めてもらうために,宿題を課す回もあります.各回の学習目標をよく読み,予習と復習をしっかり行ってください.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 破損事故の歴史と材料強度学の役割 | 破損事故の歴史と教訓に関する理解 |
第2回 | 材料の破壊 | 材料の破壊に関する理解 |
第3回 | エネルギー解放率 | エネルギー的な視点からみた破壊力学およびグリフィス理論の理解 |
第4回 | き裂先端の弾性力学 | き裂を取り扱う弾性論の理解 |
第5回 | 応力拡大係数 | 応力拡大係数の概念の理解 |
第6回 | 応力拡大係数の例と重ね合わせの原理 | 応力拡大係数の例と重ね合わせの原理に関する理解 |
第7回 | エネルギ解放率との関係 | 応力拡大係数の意味のエネルギ論的解釈の理解 |
第8回 | き裂先端の塑性変形 | き裂先端の塑性変形に関する理解 |
第9回 | き裂先端開口変位と破壊靭性 | き裂先端開口変位と破壊靭性に関する基礎的な理解 |
第10回 | 安定破壊,R曲線,平面ひずみ破壊靭性,延性ー脆性遷移.動的破壊 | 安定破壊,R曲線,平面ひずみ破壊靭性,延性ー脆性遷移.動的破壊の理解 |
第11回 | 疲労き裂の発生と進展,時間依存破壊 | き裂発生と進展速度, 進展の下限界,進展の機構,疲労き裂閉口,時間依存破壊などに関する理解 |
第12回 | 破壊制御設計 | 破壊制御設計に関する基礎的理解と実例 |
第13回 | 非破壊検査 | 非破壊検査方法の紹介と理解 |
第14回 | 演習 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
小林英男著,『破壊力学』,共立出版
「改訂 材料強度学」,日本材料学会発行,2005.
複数回の演習により成績を評価する.
材料力学並びに弾塑性力学に関する十分な知識を有することが好ましい.