2020年度 熱力学(機械) A   Thermodynamics (Mechanical Engineering) A

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開講元
機械系
担当教員名
村上 陽一  平井 秀一郎  長﨑 孝夫  大河 誠司 
授業形態
講義 / 演習    (Zoom)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月5-8(H121)  
クラス
A
科目コード
MEC.E201
単位数
2
開講年度
2020年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2020年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

熱力学は機械工学の最も重要な基盤学問の一つであり,地球環境問題やエネルギー問題,資源問題を工学的に扱う際にも根幹をなす学問であるため,本講義は,機械工学において最初に学ぶべき必須科目として位置づけられます.講義では,熱・仕事・化学エネルギーなどが関与する諸現象,およびそれらを支配する物理法則を学びます.

具体的には,次の点を中心に講義を行います.
1. 熱力学に関する基礎概念(系,エネルギー,温度,熱,仕事,状態量,過程,相変化,効率,成績係数,エントロピー,エクセルギーなど)
2. 熱力学の諸法則(第一法則,第二法則,熱力学の一般関係式など)
3. 化学反応に関する熱力学(反応熱,反応速度,生成エンタルピー,生成ギブスエネルギーなど)
4. 動力サイクル・冷凍サイクルに関する熱力学(自動車エンジン,ジェットエンジン,ガスタービン,蒸気タービン,冷凍機,エアコンなど)

到達目標

本科目では,
(1)熱力学の概念と内容,特に
  1. 熱力学に関する基礎概念.
  2. 熱力学の諸法則
  3. 化学反応に関する熱力学
  4. 動力サイクル・冷凍サイクルに関する熱力学
を理解し,説明できるようになること
(2)それらを具体的な工学的問題に応用できるようになること
の二点を到達目標とします.

本科目は,学修目標の
 1.【専門力】基盤的な専門力
の修得に対応します.

本科目は,以降の「伝熱学」や「エネルギー変換工学」などの科目の修得に役立ちます.

キーワード

熱,仕事,エネルギー,エクセルギー,熱機関,動力サイクル,冷凍サイクル

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)
機械工学および科学全般の基礎である熱力学の専門力.

授業の進め方

本講義では,温度や状態量,熱力学の諸法則の説明からスタートし,熱サイクル,各種熱機関の特徴を理解した上で,熱エネルギーを活用するための基礎能力を身につけます.
受講者は授業中に各自講義ノートをとり,復習を行うことを強く推奨します.(自分自身の手で取った講義ノートは期末試験中に参照可です.下記【期末試験の要領】参照.)講義内容に応じて,補助資料を配布します.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 全体のオリエンテーションののち, イントロダクション(熱力学の目的と概要) 系、エネルギーの形態、熱力学第零法則と温度、熱、仕事 状態量、状態変化、理想気体、アボガドロの法則 熱力学第一法則の基礎(熱力学的平衡、準静的過程) 系の概念を修得し,各種エネルギーと熱・仕事の関係,温度と熱の関係を熱力学的に理解する. 状態量と状態変化の概念等を理解した上で,理想気体における状態変化を定量的に評価できるようにする. 熱力学第一法則の基礎を理解する.熱力学的平衡の概念を理解する.
第2回 熱力学第一法則(閉じた系) 熱力学第一法則(開いた系) 熱力学第二法則の基礎(熱機関と熱効率) 閉じた系および開いた系における熱力学の第一法則を理解し,準静的過程における状態変化を予測する. 熱機関サイクルとその熱効率の概念をもとに,熱力学第二法則の基礎を理解する.
第3回 熱力学第二法則(カルノーサイクル、第二法則の表現) 熱力学第二法則(エントロピー、可逆/不可逆過程) 具体的な熱機関サイクルとしてのカルノーサイクルを学び,その熱効率を評価する.さらに,熱力学に第二法則のさまざまな表現を理解する. 熱力学の第二法則をもとに,状態の乱雑さを表す状態量であるエントロピーの概念を学ぶ.エントロピーの概念に基づき可逆過程と不可逆課程の違いを理解する.
第4回 エクセルギー、自由エネルギー 熱力学の一般関係式(マクスウェルの関係式、クラペイロン・クラジウスの式、ジュールトムソン効果) 化学反応 エントロピーの概念をもとに,工学的に利用できるエネルギーの指標であるエクセルギーと系の自発的変化の指標である自由エネルギーの概念を導く. これまでに現れた状態量間の関係式を導き,マクスウェルの関係式,クラペイロン・クラジウスの式等の実用上有効な関係式を用いて状態量を評価する. 化学反応の基本を学び,反応熱と自由エネルギーの関係,反応速度と温度の関係を理解する.
第5回 ガスサイクル(オットーサイクル、ディーゼルサイクル) ガスサイクル(ブレイトンサイクル、スターリングサイクル) 実用内燃機関ガスサイクルであるオットーサイクルとディーゼルサイクルの動作を学び,その熱効率を評価する. ガスタービンエンジンの理論サイクルであるブレイトンサイクルおよび外燃機関ガスサイクルであるスターリングサイクルの動作を学び,その熱効率を評価する.
第6回 実在気体と蒸気 蒸気サイクル(ランキンサイクル) 実在気体と蒸気の状態変化を評価する方法を学ぶ. 蒸気エンジンサイクルであるランキンサイクルの動作を学び,その出力や熱効率を評価する.
第7回 冷凍サイクル(蒸気圧縮サイクル) 期末試験 冷凍サイクルの典型である蒸気圧縮サイクルの動作を学ぶ. 期末試験により学修の確認を行う.

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

JSMEテキストシリーズ「熱力学」日本機械学会
教科書は各自購入し,毎回の授業に持ってくること.

参考書、講義資料等

森康夫・一色尚次・河田治男,「改正版熱力学概論」養賢堂.
Y. A. Cengel, M. A. Boles, “Thermodynamics: An Engineering Approach”, McGraw-Hill.
その他,必要に応じて資料を配布します.

成績評価の基準及び方法

成績は,期末試験が80~90%,演習が10~20%の割合(計100%)で評価を行います.
第7回(8月3日)の後半の時間にオンラインで期末試験を行います.本科目の成績評価の主要部分はこの試験で行うため,必ずこれを受験すること.

【期末試験の要領】
・試験時間は90分程度を予定.
・試験では,答えを他人に教える・他人の答えをきく・答えを共有する等を含むいかなる不正行為も行ってはいけない.
・試験中に参照してよいものは,自分自身の手で取った講義ノートと本科目担当教員から配布された補助資料,本科目の上記指定教科書(JSMEテキストシリーズ「熱力学」※)に限る.試験中にインターネット上の情報を含むそれ以外のものは見てはいけない.
・関数電卓を使用するため,手元に準備しておくこと.
・詳細は後日OCW-iからのメールなどでアナウンスを行う.

※試験時間中に教科書の内容を理解しようとしても時間不足に陥るので,十分事前に勉強しておき,当日の教科書の参照は式や語句定義の確認程度に留めるのがよい.

関連する科目

  • MEC.E311 : 伝熱学
  • MEC.E331 : エネルギー変換工学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

微積分学の基礎知識を有していることが望ましい。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

平井 秀一郎:hirai[at]mes.titech.ac.jp
長﨑 孝夫:nagasaki.t.aa[at]m.titech.ac.jp
大河 誠司:okawa.s.aa[at]m.titech.ac.jp
村上 陽一:murakami.y.af[at]m.titech.ac.jp

オフィスアワー

メールで事前に予約すること.

その他

上記の「授業計画」と「回」との対応は授業の進行により異なる場合があるが,内容は基本的にこの順番で進められる.

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