行列の固有値解析や常微分方程式の数値解法は機械工学のみならず,広汎な理工学分野において利用されている.解析技術の発展により,これらの技法は汎用シミュレーターを用いることで利用することも可能であるが,新たに正しい解析結果を得るため,あるいは取り扱う現象に関する理解を深めるには,動作原理を学ぶ必要がある.
本講義は「基礎数値計算法」で取得した知識およびプログラミング技術を応用・発展させ,上述の問題に潜む,数理について解説する.
この授業により,以下の内容を修得する.
(a) 行列の固有値,固有ベクトルの理解
(b) 大規模行列の逆行列,擬似逆行列
(c) 最小二乗法,最適化手法
(d) 常微分方程式の解法とその安定性
(e) これらを応用したプログラミングのスキル
この科目は,学修目標の
6. 機械工学の発展的専門学力
7. 専門知識を活用して新たな課題解決と創造的提案を行う能力
の修得に対応する.
逆問題,固有値分解,特異値分解,最小二乗法,常微分方程式
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義を中心とした授業を行い,また,講義内容の演習も行う.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ベクトルと空間,行列と写像 | n次元空間の概念をつかむ.写像を行列で表す |
第2回 | 行列の正負と零空間 | 行列の正負,零空間を理解する |
第3回 | ベクトル・行列の大きさ(固有値,行列のべき乗) | ベクトルのノルム,固有値分解を理解する |
第4回 | 逆問題の解法(逆行列,特異値分解) | 逆行列,擬似逆行列,特異値分解を理解する |
第5回 | 最適化 | 最適化手法を身につける |
第6回 | 最小二乗法 | 最小二乗法を理解する |
第7回 | 常微分方程式の数値解法 | 常微分方程式の数値解法を身につける |
第8回 | 陽解法と陰解法 | 陽解法と陰解法を理解する |
特になし(講義中に適宜資料を配付する)
森正武著『数値解析(第2版)』共立出版
山本哲朗著『数値解析入門[増訂版]』サイエンス社
授業中の演習(30%程度),および,期末試験(70%程度)によって総合的に評価する.
基礎数値計算法の知識を必要とする