伝熱学は機械工学における重要な専門分野です。環境・エネルギー問題において、廃熱をいかに有効利用するかは、持続可能社会において最も重要な課題の一つと言えます。伝熱学ではこのための基礎を学ぶことができます。講義では、熱伝導、対流、ふく射、相変化などの伝熱現象やそれに関わる物理法則を学びます。
本講義では、伝熱における基礎項目を理解し、それらを用いて熱の流れを評価できるとともに、エネルギーの有効利用に応用できることを到達目標とします。
伝熱、熱伝導、対流伝熱、ふく射伝熱、相変化、熱交換器
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
本講義では、まず伝熱学の全体について概観したのち、各伝熱現象すなわち伝導伝熱、対流伝熱、ふく射伝熱、相変化伝熱について学習します。これらの基礎を修得したのち、応用例として熱交換器について学びます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション(目的、伝熱学の全体像) | なし |
第2回 | 熱伝導、熱伝導方程式、定常熱伝導 | 熱伝導の基礎について学習し、定常熱伝導について定量的に把握できるようにする。 |
第3回 | フィンの伝熱、非定常熱伝導 | フィン付面からの伝熱を学習し、伝熱促進方法について理解する。非定常熱伝導の基礎について学習する。 |
第4回 | 非定常熱伝導、対流伝熱(支配方程式) | 非定常熱伝導のいくつかの例についてその解析方法を理解する。対流伝熱の支配方程式を学習する。 |
第5回 | 強制対流伝熱(境界層近似,層流(平板)) | 物体周りの境界層内の流れの取扱い方を学習し、水平平板周りの強制対流層流熱伝達を定量的に評価できるようにする。 |
第6回 | 強制対流伝熱(層流(平板,円管)) | 水平平板周りおよび円管内の強制対流層流熱伝達について学習し、これらを定量的に評価できるようにする。 |
第7回 | 強制対流伝熱(熱と流れのアナロジー,乱流) | 熱と流れのアナロジーについて理解し、さらに乱流熱伝達の基礎を学習する。 |
第8回 | 強制対流伝熱(乱流,物体周りの流れ) | 強制対流乱流熱伝達を定量的に評価するとともに、円柱、球などの物体周りの対流熱伝達の基礎について理解する。 |
第9回 | 自然対流伝熱(基礎式,垂直平板) | 自然対流熱伝達の基礎について学習し、垂直平板周りの自然対流熱伝達を定量的に評価できるようにする。 |
第10回 | 自然対流伝熱(相関式) | 傾いた平板、水平平板など様々な物体周りの自然対流熱伝達について学習する。 |
第11回 | 熱ふく射の基礎 | ふく射現象に関する基礎的概念について学習する。 |
第12回 | ふく射伝熱 | ふく射伝熱の基礎について学習する。 |
第13回 | 相変化を伴う伝熱(沸騰) | 沸騰伝熱について学習し、その定量的評価ができるようにする。 |
第14回 | 相変化を伴う伝熱(凝縮) | 凝縮伝熱について学習し、その定量的評価ができるようにする。 |
第15回 | 熱交換器と熱輸送デバイス | 熱交換器の基礎について学習し、その性能の定量的評価方法を学習する。また、ヒートパイプなどの熱輸送デバイスについて学習する。 |
JSMEテキストシリーズ「伝熱工学」日本機械学会編、丸善
甲藤好郎「伝熱概論」養賢堂
Incropera F.P. and Dewitt D.P., Fundamentals of Heat and Mass Transfer, Wiely
伝熱における基礎項目を理解し、それらを用いて熱の流れを評価できるとともに、エネルギーの有効利用に応用できることを評価する。期末試験(80%),演習(20%)で成績を評価する.
微積分学、微分方程式、熱力学の基礎知識を有していることが望ましい。
特になし