ロボットは、回転や直進などの関節を複数連結し、必要とされる柔軟かつ高精度な運動を実現している。本科目では,このようなロボットの運動を実現するための、ロボットの仕組み(機構)と運動の性質を調べるための解析法および総合法(設計法)を学ぶ。
また、具体的に用いられている基本的な機構の種類とその特性を知る。さらに、駆動部に用いられている減速機等の歯車機構の構造とその減速比の計算方法などについても学ぶ。
そのアプローチは、実物を触って考え理解する方法、直感的な理解を得るために図を描いて考え理解する方法、式を用いて理論的・解析的に考え理解する方法からなる。これにより,ロボットの設計における概念設計,基本設計(構造の設計),既存のロボットの改善のための基本的な運動特性の把握およびロボット機構の特性を考慮した軌道設計の基本的な考え方と知識が身に着くことになる.
本講義を履修することにより,次の能力を修得する.
(1)ロボットの構造を自由度の観点から理解する能力
(2)ロボットの変位,速度等の基本的特性を把握するための基本的手法の活用能力
(3)ロボットの減速機に使われている歯車列の構造の理解と減速比の計算能力
(4)ロボットの設計,特性把握のための基本的な工学的センス
ロボット工学,機構学,リンク機構,歯車機構,変位解析,速度解析,自由度,構造の総合,特性評価,量の総合
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
学生には教科書あるいは補足資料により予習することを要求する.そのうえで,授業では,具体的な事例を取り上げ,図式,数式およびモデルを用いた説明により,学習内容の説明を行う.毎回の授業の最後には,演習問題によりその理解度を確認する.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ロボットの構成 | ロボットの構成とそれらの役割の概要を理解する |
第2回 | ロボットの構成要素 | ロボットの構成要素とその役割について,具体的に知る |
第3回 | ロボット機構の種類(開ループ機構) | ロボットの機構として用いられている開ループ機構の種類と特徴を理解する |
第4回 | ロボット機構の種類(閉ループ機構) | ロボットの機構として用いられている閉ループ機構の種類と特徴を理解する |
第5回 | ロボット機構の自由度(機構の自由度の式と自由度の解析) | ロボット機構の自由度を計算するための基本的考え方とそのための計算式を理解し,それを用いて具体的な機構の自由度の解析を行う |
第6回 | ロボット機構の自由度(数および構造の総合) | ロボット機構に求められる自由度に適合する機構の構造を得る(総合する)ための基本的考え方を理解し,これに基づき具体的なロボット機構の構造の総合を行う |
第7回 | ロボット機構の変位解析(開ループ機構) | 開ループのロボット機構について,変位解析の基本的考え方とその方法を理解する |
第8回 | ロボット機構の変位解析(閉ループ機構) | 閉ループのロボット機構について,変位解析の基本的考え方とその方法を理解する |
第9回 | ロボット機構の速度・加速度解析(基本的考え方) | 1自由度および多自由度のリンク機構それぞれについて,速度解析,加速度解析の基本的な考え方と解析手法を理解する. |
第10回 | ロボット機構の速度・加速度解析(ヤコビ行列) | 多自由度ロボット機構の速度解析におけるヤコビ行列の物理的意味と取扱い手法を理解する. |
第11回 | ロボット機構の力解析(基本原理) | 仮想仕事の原理に基づくロボット機構の力学解析の基本的な考え方と手法を理解する. |
第12回 | ロボット機構の力解析(仮想仕事の原理と特異点解析) | ヤコビ行列を用いたロボット機構の力学解析の意味と手法を理解する.また,特異姿勢の物理的,数学的意味を理解する. |
第13回 | ロボット用減速機の種類と速度解析(解析手法) | ロボットの関節に用いられる減速機の種類と特徴を知り,その速度解析の方法について理解する |
第14回 | ロボット用減速機の種類と速度解析(速度比に基づく設計) | ロボット用の歯車減速機に求められる減速比に対応する歯数の決定方法を理解する |
第15回 | まとめ | 講義内容を総復習する. |
JSME テキストシリーズ「機構学」
参考資料を,適宜,OCW-iにアップする.
授業中の演習および期末試験の成績を総合して評価する
事前に身に着けているべき知識や技術はない