概要: 複素数は実数と虚数を組み合わせた数字であり,機械工学の様々な現象を理解するために欠かせない数学のツールである。本講義では,複素解析の初歩として,複素変数の関数の微積分を,実数値関数の微積分と比較しながら学習することで複素関数の特徴を理解すると共に計算力を養う。さらに,コーシーリーマンの方程式,ラプラス方程式,コーシーの積分定理などを学習することで,複素関数の積分評価においては重要な手法の多くがコーシーの積分定理やコーシーの積分公式から展開されることを学習する。その後,級数展開や留数の利用によるなどの応用的事項を扱う。
本講義のねらい: 機械系に必要とされる複素関数論の基礎と応用を習得する。複素関数の微分に関する基礎的な概念を理解すると共に,その2階偏微分方程式との関連性と,実関数の積分値の計算への応用手法を修得することで,工学的な問題の解決へと資する数学力を身につける。
複素関数論を履修することにより,次の能力を修得する。
1) 複素数と複素関数の概要を理解し,基本的な計算ができる能力。
2) 複素関数を活用する利点を理解の上,工学的な実問題に応用してく解くことができる能力。
線形2階偏微分方程式、ラプラス方程式、複素微分、複素積分、留数、リーマン面
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
基礎的内容について学習の後、発展的・応用的内容を解説する。講義内容の確実な理解と応用力を養うため,適宜,講義内容に関連した演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 複素関数の微分,コーシーリーマンの方程式 | コーシーリーマンの方程式の導出 |
第2回 | 線形2階偏微分方程式の基礎、ラプラス方程式 | 楕円型2階偏微分方程式の満たす関係式 |
第3回 | 複素関数の積分,コーシーの積分定理 | 複素関数の積分における積分路の設定 |
第4回 | コーシーの積分公式,テーラー級数,ローラン級数 | 級数展開の導出 |
第5回 | 留数,積分評価への留数の利用 | 留数を利用した積分の計算例 |
第6回 | ジョルダンの補題,ブロムウィッチ積分路 | ラプラス変換への応用 |
第7回 | 多価関数,リーマン面 | リーマン面における分岐の設定 |
第8回 | まとめと応用 |
渡部隆一、宮崎浩、遠藤静男、「複素関数」、改訂工科の数学4、培風館、(1980)
未定
毎回の講義中に提出する演習(40%),期末試験(60%)によって成績を評価する。
偏微分方程式を履修している事が望ましい
山本 貴富喜、yamamoto.t.ba[at]m.titech.ac.jp、内線3182