本講義は,工学全般に関係する基盤学問として,流体の物理性質および電池系の熱力学について,特に物理化学的な視点から履修者に理解させることを目的としている.
具体的に,下記の「授業計画」のように,本授業はまず流体のもつ諸物理性質について,粘性のメカニズムと数式表現から出発し,液体の表面張力とその表面エネルギーとの関係を学ぶ.続いて,液体を用いたエネルギー応用の代表例として,電池系の熱力学について学び,さらに発展項目としての液体中でのイオン解離およびその平衡について学ぶ.
受講者は,本講義内容を学ぶことにより,流体および電池系に関する物理化学的な理解を得ることができる.さらに,下記の「関連する科目」の学修と補完関係を成すことにより,履修者は多視点的な専門知識を形成することが期待できる.
本講義は,
1) 流体の性質を特徴づけている物理と関連法則を理解すること
2) 液体の重要なエネルギー応用の一つである電池系の熱力学を理解すること
3) これらを工学的問題に使用・応用できる能力を身につけること
を目標とする.
流体の物理特性,粘性,輸送現象,平均自由行程,表面エネルギー,熱力学,電気化学セル,起電力,電極電位,解離平衡.
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
・本科目は英語開講の集中講義で,8回の講義(週2回・4週)からなる.
・最初の授業日は10/17(月)で,毎週月・木3-4時限に開講する.開講日程は本ページ末尾の「その他」を参照すること.
・受講者は各回講義後に復習を行うことが推奨される.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 流体の粘性・・・層流と乱流,レイノルズ数とその意味,粘性の定義,ニュートンの粘性法則,粘性係数. | 流体の粘性の基礎について学び,その内容を説明できるようになること. |
第2回 | 気体の粘性・・・そのメカニズム,平均自由行程との関係,温度と圧力依存性. 液体の粘性・・・そのメカニズム,温度依存性,ポアズイユ方程式の原理説明とその圧縮性流体への修正適用. | 気体と液体の粘性について学び,その内容を説明できるようになること. |
第3回 | 液体の表面張力・・・表面張力と表面エネルギー,温度依存性,メニスカスの形状,接触角,表面張力の測定法の原理. | 液体の表面張力について学び,その内容を説明できるようになること. |
第4回 | 電気化学セル・・・半電池反応式による表記,ネルンスト方程式,電極ポテンシャルの導出. | 電気化学セルの基礎について学び,その内容を説明できるようになること. |
第5回 | 標準電極電位とその決定・・・ギブス-ヘルムホルツ方程式,様々な電池の起電力,濃淡電池. | 標準電極電位とその決定について学び,その内容を説明できるようになること. |
第6回 | 液絡部のポテンシャル・・・塩橋とその機能,標準セル,反応起電力に関する熱力学パラメーター. | 液絡部のポテンシャルについて学び,その内容を説明できるようになること. |
第7回 | 本トピックの発展事項・・・溶解度積,水のイオン積,酸解離定数,イオン価の決定,平衡定数,pHの決定,電位差滴定. | 本トピックに関する幾つかの発展事項について学び,その内容を説明できるようになること. |
第8回 | 第1回から第7回の総括.および,宿題内容,採点等の説明. | 第1回から第7回の内容を総括できるようになること. |
特になし.
物理化学および電気化学に関する教科書全般.
宿題の採点により評価する.
特になし.
daskumarsudhir.chem[at]gmail.com
担当教員(Das特任准教授)と口頭またはEメールで相談し,アポイントメントを取ることとする.
本講義は,第3Q後半に,4週にわたり毎週2回(月・木の3-4時限),合計8回行われる集中講義(1単位)である.英語開講.
本講義は工学院全体で開講される.したがって,工学部に所属する学部生(主に3年生,4年生)は誰でもこの講義を履修できる.
開講日は以下のとおり.
第1回: 10月17日(月)
第2回: 10月20日(木)
第3回: 10月24日(月)
第4回: 10月27日(木)
第5回: 10月31日(月)
第6回: 11月3日(木:文化の日)
第7回: 11月7日(月)
第8回: 11月10日(木)
授業レベルとしては学部3,4年生を主に対象としているが,意欲的な学生は学部2年生でも受講可とする.