本講義では、最新の計算機システムに採り入れられている高速プロセッサの構成方式とその制御方式について紹介し、これらの技術を駆使したパイプラインプロセッサ、ベクトルコンピュータ、並列計算機、相互結合網、マルチコアプロセッサ等の先端的な計算機アーキテクチャの概念と技術を習得する。
高速な計算を行なうためには、パイプライン処理やマルチプロセッサによる並列処理が重要であり、現代の高速な計算機アーキテクチャの根幹を成している。本講義では、ハードウェア技術の側面だけに留まらず、それに対応するプログラミングモデルについても紹介し、両側面から現代の計算機アーキテクチャの技術を理解して欲しい。
本講義を履修することにより、次の能力を修得する。
・パイプラインプロセッサの概念、ならびにその応用であるスーパスカラプロセッサの動作原理と特徴を、ハードウェアとソフトウェアの両側面から理解できる。
・ベクトルコンピュータの基本原理と、その性能との関係について理解できる。
・マルチプロセッサシステムの分類と、構成方法について理解できる。
・マルチプロセッサシステムにおけるデータの一貫性維持の仕組みについて、ハードウェアとソフトウェアの両側面から各々の特徴を理解できる。
RISC、パイプライン処理、ベクトルコンピュータ、相互結合網、共有メモリ型マルチプロセッサシステム、メッセージパッシング型マルチプロセッサシステム、マルチコアプロセッサ
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義の80%を教授項目の説明を行ない、残りの20%を理解度のチェックを兼ねた簡単なクイズと、その解説を行ないます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 計算機の高速化と評価 | スループットと応答時間の関係の説明、アムダールの法則の理解 |
第2回 | 命令セットアーキテクチャ / アドレシングモード / CISC | CISCの利点と欠点の説明 |
第3回 | RISC / パイプライン処理 | RISCの利点と欠点の説明、パイプライン処理の原理の理解 |
第4回 | パイプラインハザード / 静的多重命令発行プロセッサ / VLIW | パイプラインハザードの理解と解決方法の説明 |
第5回 | 動的多重命令発行プロセッサ / スーパスカラプロセッサ / Tomasuloアルゴリズム | Tomasuloアルゴリズムの理解 |
第6回 | 算術パイプライン / 非線形パイプライン | 非線形パイプラインのスケジューリング方法の説明 |
第7回 | ベクトル計算機アーキテクチャ | ベクトルアーキテクチャの原理の説明 |
第8回 | ベクトル計算機の性能向上と性能評価 | ベクトル計算機の性能の計算方法の理解 |
第9回 | 静的相互結合網 / パケットスイッチング | 静的相互結合網の種類とルーティング方法の説明 |
第10回 | 動的相互結合網 | 動的相互結合網の構成方法の説明 |
第11回 | マルチプロセッサ / 共有メモリ型マルチプロセッサ / キャッシュコヒーレンシ / スヌーピングキャッシュ一貫性プロトコル | スヌーピングキャッシュ一貫性プロトコルの説明 |
第12回 | ディレクトリ型キャッシュ一貫性プロトコル / 共有メモリ型マルチプロセッサのプログラミングモデル | キャッシュ一貫性プロトコルとスレッド間の相互排除の関係の理解 |
第13回 | 分散メモリ型マルチプロセッサ / メッセージパッシング / 分散メモリ型マルチプロセッサのプログラミングモデル | 分散メモリ型マルチプロセッサのプログラミングモデルの理解 |
第14回 | マルチコアプロセッサ / メニーコアプロセッサ / GPU | マルチコアプロセッサ、メニーコアプロセッサの特徴の理解 |
第15回 | ハードウェアマルチスレッディング / SIMD命令 / 先進的な話題 | ハードウエアマルチスレッディングとSIMD命令の理解 |
指定なし
講義資料は、OCW-iに掲載します。
[参考書]
- コンピュータアーキテクチャ 定量的アプローチ第5版,ヘネシー & パターソン著,翔泳社,2014
- コンピュータの構成と設計 第5版 (上・下),パターソン & ヘネシー著,日経BP社,2014
到達度を期末試験により評価する。
履修の必須条件は設けないが、計算機アーキテクチャ第一とアセンブリ言語の講義を事前に受講しておくのが望ましい。