この講義,複素解析では,1変数複素数値関数について解説する.これは発展を続ける現代数学に不可欠なものである.本科目は演習科目「解析学演習B第一」とセットで履修することが強く推奨される.
この講義の最初では,コーシーリーマンの方程式について解説する.これは実1変数の微分の概念を複素数関数に拡張する際にキーとなるものである.複素関数で微分可能なものは正則または解析的と言われる.さらにこの講義では,解析性の幾つかの同値条件についても論じる.解析関数についてのこれらの同値条件の理論はコーシー理論として知られているものである.次に,有理型関数とその孤立特異点について解説する.また,等角写像と平面領域における等角写像の例について解説する.さらに留数を導入し,それを用いて定積分の計算が可能になることを講義する.
本講義を履修することによって以下のことが取得される.
1)複素微分とコーシー・リーマン方程式の理解.
2)コーシーの積分定理とその応用の理解.
3)最大値原理とシュワルツの補題の理解.
4)有理型関数とその特異点の理解.
5)孤立特異点の分類.
6)留数定理を応用して定積分の計算が可能になる.
正則関数,コーシー・リーマンの方程式,収束半径,コーシーの積分定理, 有理型関数,孤立特異点,留数定理,等角写像.
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義である.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 複素関数の微分、コーシー・リーマンの関係式 | 講義中に指示する. |
第2回 | べき級数とその基本的性質 | |
第3回 | リーマン球面,初等関数 | |
第4回 | 線積分の導入,コーシーの定理 | |
第5回 | コーシーの定理の応用 | |
第6回 | コーシーの積分定理とその応用 | |
第7回 | 最大値原理,シュワルツの補題、理解度確認 | |
第8回 | 有理型関数,鏡像の原理 | |
第9回 | 有理型関数の孤立特異点 | |
第10回 | 有理型関数の極と留数 | |
第11回 | 平面領域の等角写像 | |
第12回 | 留数定理と定積分 | |
第13回 | 留数定理と定積分の応用 | |
第14回 | 偏角の原理 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
入門複素関数, 川平友規,裳華房
講義時に指定する。
期末試験による。詳細は授業中に述べる。
解析概論第一及び第二を履修していることが望ましい.解析学演習B第一もあわせて履修することが望ましい.