幾何学的測度論の枠組みで考える平均曲率流である,Brakke流について,その定義や近年の研究結果について解説する.
時間でパラメター付けされた曲面族が平均曲率流であるとは,各時刻において,その曲面の平均曲率がその点における速度に等しいときである.平均曲率流は曲面積の勾配流とも考えられ,また動かないときには極小曲面となる.平均曲率流は特異点を発生するため,特異点を許容するクラスで解を考えるのが自然で,それは丁度幾何学的測度論で考えられるバリフォールドを使って表現できる.この講義ではそのようないわゆるBrakke流について,その定義から出発し,最新の研究結果までの理解を目指す.
・Brakke流の定義が理解できる.
・Brakke流の基本的性質を理解し,簡単な一般化を行うことができる.
・Brakke流の存在定理および正則性定理を拡張するための基礎的な知識を得る.
平均曲率流,Brakke流,接流,コンパクト性定理,存在定理,正則性定理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 滑らかな場合の平均曲率流 | 講義中に指示する. |
第2回 | Brakke流の定義 | |
第3回 | Huiskenの単調性公式 | |
第4回 | コンパクト性定理と接流 | |
第5回 | Brakke流の存在定理I | |
第6回 | Brakke流の存在定理II | |
第7回 | Brakke流の正則性定理 |
なし
Brakke's mean curvature flow: an introduction, Yoshihiro Tonegawa
レポート(100%)
解析学特別講義Cの履修.
tonegawa[at]math.titech.ac.jp