2019年度 代数学第一   Algebra I

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開講元
数学科
担当教員名
加藤 文元  馬 昭平 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
水3-4(H103)  木3-4(H103)  
クラス
-
科目コード
ZUA.A301
単位数
2
開講年度
2019年度
開講クォーター
1-2Q
シラバス更新日
2019年3月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

 本講義の主要なテーマは、(可換) 環とそのイデアルに関する基本的及びより進んだ概念とその諸性質、そして (ネーター) 環上の加群の概念とその諸性質である。本講義では、先ず、(可換) 環とその種々のイデアル (単項イデアル、素イデアル、極大イデアル等)、そしてこれらによる剰余環の基本的な性質を学ぶ。次に、環の間の準同型写像の概念、そして準同型定理・中国剰余定理を学ぶ。次に、ユークリッド整域と (その一般化である) 単項イデアル整域の諸性質、そして一意分解環における素元と既約元の概念等を学ぶ。次に、(可換) 環の局所化と、イデアルに対する幾つかの基本的な演算を解説した後で、イデアルの準素分解を説明する。次に、ネーター環の概念を導入してその諸性質を説明し、さらにヒルベルトの基底定理を説明する。最後に、(ネーター) 環上の加群の概念を導入し、特に単項イデアル整域上の有限生成加群の構造定理を説明する。そしてその応用として、線形代数学で非常に有用なジョルダン標準形の存在とその計算方法を学ぶ。
 環とそのイデアル、そして剰余環は、代数学において最も基本的な概念であり、適用範囲の非常に広いものである。一方で、これらは抽象的な概念であり、多くの初学者にとって理解が困難なものである。本講義では、(可換) 環の典型例である有理整数環・多項式環を通してこれらの抽象的概念に親しむことで、
概念の定着を図る。また、環上の加群の理論は、線形代数学で学ぶベクトル空間と線形写像の理論をより一般の場合にまで拡張・発展させたものである。
そして、(ネーター) 環とその上の加群の概念は代数学における基本的概念であり、代数学のみならず数学全般に亘り適用範囲の非常に広いものである。
本講義の目的としては、これらの概念に慣れ親しみ、その基本的な性質を良く理解して、正しく使えるようになる事も挙げられる。

到達目標

本講義を履修する事により、以下の知識と能力を習得する。
・(可換) 環のイデアル、単項イデアル、素イデアル、極大イデアル、剰余環の概念を正しく理解し、使う事が出来る。
・準同型定理と中国剰余定理を理解し、正しく使う事ができる。
・ユークリッド整域と (その一般化である) 単項イデアル整域の諸性質を説明する事ができる。
・一意分解環における素元と既約元の概念を理解し、正しく使う事が出来る。
・(可換) 環の局所化の概念を理解し、また、イデアルに対する諸演算を正しく使う事ができる。
・イデアルの準素分解を理解し、使う事ができる。
・ネーター環の定義とその諸性質を理解する。
・(ネーター) 環上の加群の概念とその諸性質を理解し、特に、単項イデアル整域上の有限生成加群の構造定理を正しく使う事ができる。

キーワード

環、イデアル、単項イデアル、剰余環、素イデアル、極大イデアル、単項イデアル整域、一意分解環、環の局所化、準素イデアル、ネーター環、ヒルベルトの基底定理、環上の加群、単項イデアル整域上の加群、単因子、有限生成加群、ジョルダン標準形

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

通常の講義形式による講義を行う。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 可逆元・零因子・べき零元と、整域 講義中に指示する。
第2回 イデアルと単項イデアル 講義中に指示する。
第3回 素イデアル・極大イデアルと、剰余環 講義中に指示する。
第4回 準同型定理および中国剰余定理 講義中に指示する。
第5回 ユークリッド整域 講義中に指示する。
第6回 単項イデアル整域 講義中に指示する。
第7回 一意分解環、素元と既約元 講義中に指示する。
第8回 理解度確認 講義中に指示する。
第9回 環の局所化とイデアルの諸演算 講義中に指示する。
第10回 準素イデアルと、イデアルの準素分解 講義中に指示する。
第11回 ネーター環とヒルベルトの基底定理 講義中に指示する。
第12回 環上の加群と自由加群 講義中に指示する。
第13回 単項イデアル整域上の加群と単因子論 講義中に指示する。
第14回 有限生成加群の構造定理 講義中に指示する。
第15回 ジョルダンの標準形と、その計算方法 講義中に指示する。

教科書

特に指定しない。

参考書、講義資料等

「代数学 I: 基礎概念・環・加群」浅野重初 森北出版
「代数と数論の基礎」中島匠一著 共立出版
「代数入門 --群と加群」堀田良之著 裳華房

成績評価の基準及び方法

中間試験 (約 50 %), 期末試験 (約 50 %)。

関連する科目

  • MTH.A301 : 代数学第一
  • MTH.A302 : 代数学第二
  • MTH.A201 : 代数学概論第一
  • MTH.A202 : 代数学概論第二
  • ZUA.A302 : 代数学演習B第一

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

線形代数学第一・演習、線形代数学第二、線形代数学演習第二、線形空間論第一・第二、代数学概論第一・第二、代数学概論第三・第四を履修していること、またはそれと同等の知識があること。
代数学演習B第一 (ZUA.A302) を同時に履修することが強く推奨される(未履修の場合)。

その他

特になし。

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