本講義では,測度および測度による積分(Lebesgue積分)に関する概念と性質を扱う.まず測度の定義域となる可算加法族と(可算加法的)測度の基礎を解説し,最も基本的な測度であるLebesgue測度について学ぶ.次に,積分対象となる可測関数およびLebesgue積分を導入し,その基本的な性質について学ぶ.次に,積分の理論・応用双方の要となる収束定理について学ぶ.次に測度の構成や拡張について学ぶ.次に,Lebesgue測度による積分とRiemann積分との関係を明らかにする.その次に,積分により定まる関数空間を導入し,その基本的な性質について学ぶ.最後に,直積空間上の(逐次)積分の測度論的な取り扱いとして,Fubiniの定理について学ぶ.本科目は演習科目「解析学演習C第一」とセットで履修することが強く推奨される.
測度および積分の理論は,Lebesgueによって集合論の土台の上に構築された.これは,長さや面積,体積あるいは確率等の概念の自然な拡張とみなせる.無限が関わる操作(図形や関数に対する極限等)は,自然に理論の枠内で取り扱うことができる.本講義を通じて,Lebesgue式の積分によって理論の適用範囲がどう拡がり,それが解析学において如何に有効になるのかを伝えたい.
・可算加法族および測度の概念に馴染むこと.
・与えられた可測関数が可測である理由を説明できるようになること.
・積分の基本的な性質について,それが成り立つ理由を知り使いこなせるようになること.
・収束定理を,正しく仮定を判定して適用できるようになること.
・測度の基本的な構成方法の概略を説明できるようになること.
・Lebesgue積分とRiemann積分の違いが説明できるようになること.
・Lebesgue積分の理論を微分積分学の問題に応用できるようになること.
・積分に関する関数不等式や関数空間を用いる考え方に馴染むこと.
・Fubiniの定理を(多)重積分・逐次積分の計算に正しく適用できるようになること.
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✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 測度論およびLebesgue積分論の概観 | 講義中に指示する |
第2回 | 可算加法族 | 講義中に指示する |
第3回 | (可算加法的)測度とその基本的性質,完備性 | 講義中に指示する |
第4回 | 可測関数 | 講義中に指示する |
第5回 | 積分の定義とその基本的性質 | 講義中に指示する |
第6回 | 収束定理(単調収束定理,Fatouの補題,優収束定理)とその適用例 | 講義中に指示する |
第7回 | 収束定理の応用 | 講義中に指示する |
第8回 | 測度の拡張定理 | 講義中に指示する |
第9回 | 外測度と測度の構成 | 講義中に指示する |
第10回 | Dynkin族定理とその応用,Riemann積分とLebesgue積分の関係 | 講義中に指示する |
第11回 | L^p-空間とその完備性,基本的な関数不等式 | 講義中に指示する |
第12回 | 直積測度と累次積分 | 講義中に指示する |
第13回 | Fubiniの定理とその応用 | 講義中に指示する |
第14回 | Fubiniの定理の拡張 | 講義中に指示する |
第15回 | 理解度確認 | 講義中に指示する |
特になし.
「ルベーグ積分入門」 伊藤清三著 (裳華房)
「ルベーグ積分入門ー使うための理論と演習」吉田伸生著 (遊星社)
「測度と確率」小谷眞一著 (岩波書店)
中間試験(およそ50%)および期末試験(およそ50%).
解析学概論第一,同第二,位相空間論第一,同第二を履修済みであることが望ましい.
解析学演習C第一を同時に履修することが強く推奨される(未履修の場合).