本講義の主要なテーマはNavier-Stokes方程式とオイラー方程式である。ソボレフ空間について基本的な事項を解説した後、Navier-Stokes方程式に関する基本的な概念を学ぶ。次にオイラー方程式の基本的な事項について解説し、最後にNavier-Stokes方程式やオイラー方程式の最新の研究結果について学ぶ。
Navier-Stokes方程式とオイラー方程式は流体運動を記述する最も重要な基礎方程式であり、流体力学において適応範囲の広い方程式である。一方これらは連立の偏微分方程式であるため、初学者にとって理解しにくいものである。本講義では、Navier-Stokes方程式やオイラー方程式の解の基本的かつ重要な性質を導くために、直感に頼ることの少ない純粋な論証を行い、数学における流体研究の進め方の典型例も学ぶ。
・ソボレフ空間を自由に使えるようになること
・Navier-Stokes方程式の時間局所解の存在定理が導けるようになること
・オイラー方程式の時間局所解の存在定理が導けるようになること
・Navier-Stokes方程式の局所非適切性の定理を理解すること
・オイラー方程式の局所非適切性の定理を理解すること
超関数、フーリエ変換、ソボレフ空間、Navier-Stokes方程式、オイラー方程式、commutator評価
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
各回の授業内容をよく読み、課題を予習・復習で行って下さい。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | フーリエ変換の導出および急減少関数の定義 | 講義中に指示する |
第2回 | フーリエ変換の性質 | |
第3回 | 超関数の微分、フーリエ変換および合成積 | |
第4回 | 超関数列の収束、超関数のフーリエ変換の例 | |
第5回 | L^p空間、ヘルダーの不等式、ミンコフスキーの不等式 | |
第6回 | 超関数とL^p関数を同一視することの正当化について | |
第7回 | ソボレフ空間の定義およびその性質 | |
第8回 | Navier-Stokes方程式の導出 | |
第9回 | 解の存在を示す際に必要な評価式 | |
第10回 | Navier-Stokes方程式の解の存在証明 | |
第11回 | commutator評価 | |
第12回 | Euler方程式のアプリオリ評価 | |
第13回 | Euler方程式の解の存在証明 | |
第14回 | Navier-Stokes方程式の局所非適切性について | |
第15回 | オイラー方程式の局所非適切性について |
特になし
「フーリエ解析と関数解析学」新井仁之著 培風館
期末試験の点数、および宿題の提出状況により評価する。詳細は講義中に指示する.
微分方程式概論第一、微分方程式概論第二が履修済みであることが望ましい。