2023年度 応用解析序論第一   Applied Analysis I

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開講元
数学系
担当教員名
小池 開 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
水3-4(M-110(H112))  
クラス
-
科目コード
MTH.C211
単位数
1
開講年度
2023年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2023年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

 本講義とそれに続く『応用解析序論第二』(4Q)では,現代数学の諸概念と密接な関わりを持ち,また諸科学への応用上も重要な「フーリエ解析」について学ぶ.前半(3Q)の本講義では,とくにフーリエ級数の理論を扱う.
 本講義の第一のねらいは,フーリエ級数に関する基礎事項を理解してもらうことにある.とくに「フーリエ級数はいつ,どのような意味で収束するか」というフーリエ級数の収束問題について,数学的に厳密な議論ができるようになることを目指す.第二のねらいは,フーリエ級数の典型的な応用について理解してもらうことである.フーリエ級数の応用範囲は極めて広いが,本講義ではとくに微分方程式への応用を取り上げる(他にも確率論,解析数論,信号・画像処理等,様々な応用がある).第三の重要ではあるがやや間接的なねらいは,フーリエ級数の理論を通し,現代解析学の諸概念をよりよく理解してもらうことにある.例えば『解析学概論第一・第二』で学ぶ極限に関する厳密な理論は,フーリエ級数の収束問題を論じる上で欠かせないものである.また,関数の集合を空間とみなす考え方は『函数解析』への第一歩でもある.

到達目標

1)フーリエ級数の定義を述べることができ,基本的な関数のフーリエ級数を計算できるようになること.
2)フーリエ級数の収束定理の証明を理解し,具体例に応用できるようになること.
3)フーリエ級数の典型的な応用に習熟すること.とくに線形偏微分方程式の解を三角級数で表す方法に親しみ,それに関連した数学的論証が行えるようになること.

キーワード

フーリエ級数,熱方程式,ディリクレ核,合成積

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義内容の理解を確認するため,毎回提出課題を与える.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 熱方程式のフーリエ級数による解法 変数分離法と重ね合わせの原理を用い,熱方程式の解を三角級数を用いて表せるようになること(この段階では数学的に厳密な議論ができることは要求しない).
第2回 フーリエ級数の具体例 簡単な関数のフーリエ級数が計算できるようになること.
第3回 フーリエ級数の収束定理:絶対収束編 2回連続微分可能な関数がフーリエ級数展開できる理由を説明できるようになること(とくに関数の滑らかさとフーリエ係数の減衰の関係について理解すること).
第4回 フーリエ級数の収束定理:ディリクレ核編 ディリクレ核の諸性質を導けるようになること.また,それらを用いて区分的に連続微分可能な関数がフーリエ級数展開できる理由を説明できるようになること.
第5回 フーリエ級数の収束定理:フェイエール核編 フェイエール核の諸性質を導けるようになること.また,それらを用いて連続関数が三角多項式で一様に近似できる理由を説明できるようになること.
第6回 フーリエ級数の応用(1) 講義中に指示する.
第7回 フーリエ級数の応用(2) 講義中に指示する.

授業時間外学修(予習・復習等)

各回の前後に予習・復習をそれぞれ概ね100分以上行うこと(提出課題への取り組みも含む).予習・復習の題材については必要に応じ,講義プリント等にてより具体的に指示する.

教科書

特になし

参考書、講義資料等

エリアス・M. スタイン,ラミ・シャカルチ『フーリエ解析入門』(訳者:新井仁之,杉本充,高木啓行,千原浩之)日本評論社(2007年):フーリエ解析に関する世界的に定評のある教科書.本講義(第3Q)と関係する箇所は主に第1−4章.理論の背景や動機に関する説明が丁寧に述べられており,また良質な問題が豊富に収録されている.

成績評価の基準及び方法

各回の講義内容の理解を毎回の提出課題と期末試験により評価する.

関連する科目

  • MTH.C201 : 解析学概論第一
  • MTH.C202 : 解析学概論第二
  • MTH.C212 : 応用解析序論第二
  • MTH.C351 : 函数解析
  • MTH.C305 : 実解析第一
  • MTH.C306 : 実解析第二
  • MTH.C301 : 複素解析第一
  • MTH.C302 : 複素解析第二

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

『微分積分学第一・演習』,『微分積分学第二』,『微分積分学演習第二』,『解析学概論第一』,『解析学概論第二』の内容を習得していることが望ましい.

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