地球内部の現象である、地震(断層運動)、火成活動、熱対流運動、物質・熱輸送、化学反応などの動的過程の基礎を学び、地球の活動を理解する。
地球惑星の固体部分は、システムの質量、熱容量の点でもっとも重要なサブシステムであり、地球惑星の進化や表層環境変動においても大きな役割を果たす。固体地球の構造は、地震波(弾性的性質)、密度や化学組成、物質相(物理化学的性質)、温度(熱的性質)、およびレオロジー(流体力学的性質)など、複数の側面をもち、それらが相互に関連して動的過程が引き起こされている。本講義では、動的過程の基礎方程式や基礎的現象について理解し、地球内部で進行しているダイナミクスや地震活動、地震波動伝播に関する知見を得ることを目的とする。
本講義を履修することにより、以下の知識を習得する。
1) 地球の大構造(弾性、密度、物質組成、温度、流動特性)を理解する。
2) 地球のダイナミクス(プレート運動、マントル対流、熱進化)の基礎的性質を理解し、実際の現象を概観する。
3) 歪と応力の数理的表現を習得し、地震波の伝播特性を理解する。
4) 地震時の断層運動を定量的に表現し、震源過程を理解する。
5) 地震活動の特徴を整理し、その背景にあるテクトニクスを理解する。
地球、地震波、弾性定数、波動、減衰、速度構造、断層、メカニズム解、密度・温度構造、組成、対流運動、火山活動、プレート運動
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
15回のうちの前半は地球の大構造に焦点をあて,地球のダイナミクスの基礎に関する講義を行う(担当は岩森光).後半でで地球内部の破壊現象である地震に注目し,地震波の伝播や地震活動,日本列島下の地震テクトニクスなどを学習する(担当は中島淳一).各講義の2/3は基礎的内容について,残る1/3はやや発展的な内容について解説する.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 地球内部の大構造(1):地震波の伝播と層構造 | 地震波の伝わり方と地球内部の弾性的性質の関係を理解する |
第2回 | 地球内部の大構造(2):密度、慣性モーメントと物質構造 | 自重圧縮、自転の慣性モーメント、および物質の相転移の関係を理解する |
第3回 | 地球内部の大構造(3):温度構造 | 地球内部の温度構造の推定方法を考察する |
第4回 | 地球内部の大構造(4):レオロジー構造 | 岩石の流動現象とその特性、および地球の変動との関係を理解する |
第5回 | 地球のダイナミクス(1):地球内部のエネルギーと運動 | 固体地球の変動現象のエネルギー源を整理する |
第6回 | 地球のダイナミクス(2):海洋底拡大とプレート運動 | 海洋底拡大を例として、実際の変動現象とプレート運動の理解を深める |
第7回 | 地球のダイナミクス(3):マントル対流と熱進化 | プレート運動を包括する全地球のダイナミクスと進化の機構について概観する |
第8回 | 地震学の基礎と線形弾性論 | 地震学の基礎を学び、線形弾性体の基礎方程式を理解する |
第9回 | 実体波の伝播 | 弾性論から導出される地震波の特徴を理解する |
第10回 | 表面波の伝播 | 表面波の伝播の特徴を理解する |
第11回 | 波線理論 | 地震波の伝播過程理を理解する |
第12回 | 地球内部構造の推定方法 | 内部構造の推定方法を理解する |
第13回 | 震源と断層運動 | 震源決定の概念と断層運動の数理的表現を理解する |
第14回 | 地震動と地震の規模 | 震度・マグニチュードを理解する |
第15回 | 日本列島の地震活動 | 日本列島の地震活動を理解する |
特になし.講義内容に応じて、適宜紹介する。
特になし。参考資料は随時配布。
期末試験、およびレポートにより成績を評価する。
履修の条件を設けない