地球内部の限られた観測データを基に、その構造とダイナミクスをどう理解するか、考え方を含めて講義します。さらには、生命との関わりを意識しながら、地球の形成と進化を議論します。一方で、太陽系や系外惑星系の観測データを説明し、惑星系の普遍性と多様性を理解するためには、その形成過程を一般的に考えることが必須です。惑星形成過程は多様な物理学が絡む多段階のプロセスです。特に、惑星系の初期条件となる原始惑星系円盤の力学構造・熱構造・粘性進化や惑星成長の議論の基礎となる小天体の軌道進化・合体成長過程を理解することが重要です。
また、約半分くらいは外国人研究者による英語での授業となり、英語での講義に慣れることもこの授業の目標となります。
【到達目標】 本講義を履修することによって、地球内部構造および惑星形成の基礎を理解し、関連するいくつかのテーマにおける最先端研究の概要を理解することを到達目標とします。
【テーマ】 本講義では、現在の地球の内部構造とダイナミクスを理解し、そこから地球の形成と進化を議論する。さらに、惑星形成理論の基礎となる原始惑星系円盤の力学構造・熱構造・粘性進化、小天体の軌道進化・合体成長過程を理解し、太陽系や系外惑星系に応用するための基礎を築くことを目的とします。
地球内部、地球の形成と進化、惑星形成、太陽系、系外惑星系
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義と小テスト
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 地球内部の概観 | 地殻、マントル、コア |
第2回 | 地球内部の化学組成 | マントルの組成、コアの組成、太陽系元素存在度 |
第3回 | 地球内部の圧力・温度分布 | マグマの融解温度、コアの温度 |
第4回 | 地球の形成と進化 | マグマオーシャン、コアの形成 |
第5回 | 地球の水 | マントルの水、コアの水素 |
第6回 | マントルの層構造とダイナミクス | マントル主要鉱物の相転移 |
第7回 | コア-マントル境界における相互作用 | コアーマントル境界 |
第8回 | コアのダイナミクスと熱進化 | コアーマントル境界の熱流量 |
第9回 | 原始惑星系円盤の熱構造 | ガス円盤の熱源 |
第10回 | 原始惑星系円盤の力学構造 | ガス円盤の力学的釣り合い |
第11回 | 円盤降着 | ガス円盤の粘性拡散 |
第12回 | ダストの運動 | ダストへのガス抵抗 |
第13回 | ダストの合体成長と微惑星の形成 | ダストの衝突確率 |
第14回 | 微惑星の合体成長 | 微惑星の衝突断面積 |
第15回 | ガス惑星の形成 | ガス惑星の構造 |
特になし
井田茂『系外惑星と太陽系』岩波新書
長沼毅・井田茂『地球外生命』岩波新書
井田茂・中本泰史著 『惑星形成の物理』共立出版
廣瀬敬著『できたての地球』岩波書店
出席とレポートで評価する。
特になし