われわれの生活に欠かせない電池や化学センサなどのデバイス類や金属精錬をはじめとする電解工業は電気化学の技術に支えられている。本講義では、電気化学反応の理論的な取扱い方および応用について、なるべく平易に概説する。
電気化学プロセスを理解するための基礎知識や概念を習得するとともに、さまざまな電気化学デバイスの仕組みや動作原理、身近な電気化学現象を酸化還元反応に基づいて説明できるようになることをねらいとする。
本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1) 電気化学反応の基礎(平衡論・速度論・物質輸送)に関して説明できる。
2) 界面電気二重層の構造および電極反応との関連性を説明できる。
3) 基本的な電気化学測定法、たとえばサイクリックボルタンメトリーの測定原理とその活用法について説明できる。
4) 実生活において電気化学技術が活躍する分野、およびそこでの利用形態について説明できる。
電気化学、電極反応論(平衡論および速度論)、界面電荷移動、電池、環境化学、バイオケミストリー
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講述を中心に進め、必要に応じて演習問題を解かせる。各回の学習目標をよく読み、予習・復習を行ってください。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション | 電気化学現象の特徴と基礎的な概念、技術が応用されている場面について理解する。 |
第2回 | 電気化学セル | 2電極型セルの特徴を説明できる。 |
第3回 | 電解合成 | 電気分解の特徴および工業プロセスへの応用について説明できる。 |
第4回 | 電池 | 一次電池や二次電池、燃料電池などの発電デバイスの種類と特徴について説明できる。 |
第5回 | 電気化学反応 (I):反応熱力学 | 電気化学平衡を熱力学的に取り扱うことができる。 |
第6回 | 電気化学反応 (II):反応速度論 | 電荷移動反応速度と電位との関係を説明できる。 |
第7回 | 電気化学反応 (III):物質輸送 | 物質輸送速度が電極反応速度に及ぼす影響を説明できる。 |
第8回 | 電気化学界面 | 電気二重層の構造モデルを説明できる。 |
第9回 | 電気化学測定法 (I):測定装置とセル | 電気化学測定に用いる装置およびセルについて理解する。 |
第10回 | 電気化学測定法 (II):電位ステップ法と電位掃引法 | 電位ステップ法と電位掃引法について説明できる。 |
第11回 | 電気化学測定法 (III):インピーダンス法とパルス法 | インピーダンス法とパルス法について理解する。 |
第12回 | 腐食とめっき | 腐食プロセスを電気化学的に理解して説明できる。 |
第13回 | グリーンエレクトロケミストリー | バイオセンサや水処理における電気化学の役割を理解する |
第14回 | 燃料電池 | 燃料電池の種類と構成素材について説明できる。 |
第15回 | 講義のまとめと期末試験 | 講義全体のまとめを行い、理解度を確認するための試験を実施する。 |
Keith Oldham, Jan Myland, Alan Bond, Electrochemical Science and Technology: Fundamentals and Applications, Wiley (2011), ISBN: 978-0-470-71085-2
資料は必要に応じて配布する。
小テストまたはレポート(50%)、試験(50%)により理解度を評価する。
化学の基礎知識を有していることが望ましい。
特になし