[講義の概要] 本講義では、光化学を基盤とした光機能材料・光学素子の開発における基礎学理を学ぶ。前半では、最新の研究トピックである光エネルギー変換材料を中心に、実験的手法とメカニズムについて理解する。さらに,その基盤となる光誘起電子移動反応とエネルギー移動反応に関する知識を修得する。後半では、屈折率について学ぶとともに,代表的な光化学反応であるフォトクロミズムを理解する。これらの光化学を基盤とする光機能材料について学ぶ。
[講義のねらい]光機能材料や光学素子の理解や研究開発には,基盤となる光化学の理解に加えて,分子の光機能を材料の機能に結びつける分子材料設計が重要である。本講義では,既存の光機能材料の光化学を俯瞰するとともに,今後の展望について学ぶ。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
(1) 光触媒や人工光合成の評価方法とメカニズムを説明できる。
(2) 光誘起電子移動反応とエネルギー移動反応を説明できる。
(3) 屈折率やフォトクロミズムを説明できる。
(4) 材料の光機能についてを述べることができる。
光触媒、人工光合成、光誘起電子移動、エネルギー移動、光異性化反応
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説する。講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組む。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 光エネルギー変換材料 実験的手法 | 太陽電池、人工光合成、光触媒の性能評価を説明できる |
第2回 | 光エネルギー変換材料 メカニズム | 光起電力や光触媒作用の素過程を挙げて説明できる |
第3回 | 光誘起電子移動反応 | 光励起状態から電荷分離状態に遷移する活性化状態とその速度の関係を説明できる |
第4回 | エネルギー移動反応 | エネルギー移動反応の支配因子と反応速度の距離依存を説明できる |
第5回 | フォトクロミズム | フォトクロミズムとフォトクロミック分子を説明できる |
第6回 | 屈折率 | 屈折率を分子構造の観点から説明できる |
第7回 | 材料の光機能:最近の展開 | 材料の光機能における最近の進展を説明できる |
第8回 | 材料の光機能:今後の展望 | 材料の光機能について現状をもとに今後の展望を説明できる |
特になし。
Principles of Molecular Photochemistry -An Introduction- by N. J. Turro, V. Ramamuthy, J.C. Scaiano, University Science Books,
分子光化学の原理, 井上晴夫・伊藤攻 監訳 丸善出版 (上記の訳本)
光化学I, 井上晴夫ら, 丸善出版
理解度をレポート(50%)および演習(50%)にて評価する。
光化学特論第一を履修していることが望ましい。