本講義は1,2年次で学んだ力学、電磁気学、量子化学、統計力学の知識をベースに、固体結晶の示すマクロな熱的・電気的現象をミクロな原理に基づいて理解することを目的とする。
具体的な内容としては、固体の構造、固体の比熱、電気伝導度、光学的性質、磁性の振舞いを、金属、半導体、絶縁体の場合において場合を分けつつ、定性的、かつ定量的に理解する。
本講義を履修することによって以下の能力を習得する。
1)固体の構造、電子状態を記述する方法を理解し、固体の性質の把握に応用できる
2)固体の比熱、電気伝導度、光学的性質、磁性の振る舞いを正しく理解できる。
3)金属、半導体、絶縁体における固体の性質の差異について正しく理解できる。
単位格子、逆格子、電気伝導度、比熱、フォノン、バンド構造、フェル面、バンドギャップ、常磁性、強磁性、反強磁性
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義と簡単な演習を基本に進めます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 物性化学の概要&固体の結合 | 固体における結合力の起源について説明せよ。 |
第2回 | 結晶構造と対称性 | 結晶構造と対称性の関係について説明せよ。 |
第3回 | 逆格子空間 | 第一ブリルアンゾーンについて説明せよ。 |
第4回 | 格子振動と分散関係 | 1次元格子の運動と分散関係について説明せよ。 |
第5回 | 格子比熱 I(アインシュタインモデル) | アインシュタインモデルに基づき格子比熱を説明せよ。 |
第6回 | 格子比熱 II(デバイモデル) | デバイモデルに基づき格子比熱を求めよ。 |
第7回 | 固体の電子状態の基礎 | 1,2,3次元金属におけるエネルギーと状態密度の関係を求めよ。 |
第8回 | バンド理論 I(ほとんど自由な電子モデル) | バンドギャップの起源について説明せよ。 |
第9回 | バンド理論 II(強束縛近似モデル) | 絶縁体と金属の違いを説明せよ。 |
第10回 | 電気伝導 | 金属の電気伝導について説明せよ。 |
第11回 | 光学的性質 I(物質中の電磁波) | 金属光沢の起源について説明せよ。 |
第12回 | 光学的性質 II(バンド間遷移による光吸収) | 直接遷移と間接遷移について説明せよ。 |
第13回 | 半導体物性 | 半導体の電子状態を説明せよ。 |
第14回 | 磁性 | キュリーの常磁性とパウリの常磁性について説明せよ。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
キッテル 固体物理学
期末試験により評価する。
履修の条件を設けない。