本講義では、安全に化学実験を行うための基礎的知識を提供する。そのために、化学物質が有するリスクの概念、化学物質に関する関係法令、リスクアセスメントについて解説する。また、廃液処理、廃棄物処理の重要性について解説する。さらに、緊急時の対応法を解説し、消火器の実施訓練を行う。化学物質が及ぼす健康影響・地球環境問題についても解説する。
化学系で行う各種実験に先立ち、その安全の手引きとなることが狙いである。化学科の課程を修めることで危険物取扱者(甲種)の受験資格が与えられるので、それに必要な危険物(化学物質)に関わる安全知識を養うことも目的としている。また、緊急時の事故対策の一つとして消火器利用の実施訓練を行い、火災のときの対処の仕方、心構えを身につけることを目的としている。
本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1) 安全の概念の理解と、安全に化学実験を行うための心構えを身につけることができる。
2) 化学物質が有するリスクとアセスメントの意義を説明できる。
3) 化学物質の管理の問題、関連法規を説明できる。
4) 化学物質と地球環境問題〜廃液、廃棄物、資源の問題を説明できる。
5) 緊急時の対応方法と火災時の対応方法、および心構えを身につけることができる。
6) 消火器の使用法を習得する。
安全、化学物質、化学実験、安全データシート、廃液、廃棄物、環境問題、労働安全衛生法、消防法、毒劇物取締法
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各講義の前半90分は、配布資料の内容をzoomを使って解説する。講義後半は、講義内容に関する小テストとその解説(10分)に当てる。毎回出席を取ります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 基礎化学実験安全オリエンテーション | 化学実験第一(100番台)などで学んだ実験の復習。講義時の課題の復習。 |
第2回 | 化学物質管理1〜労働安全衛生法、消防法 | 講義時に課した関係法令に関する小テストの復習。 |
第3回 | 化学物質管理2〜毒物及び劇物取締法、関連法規、GHSラベル、SDS | 講義時に課した関係法令に関する小テストの復習。 |
第4回 | 化学物質と地球環境問題や健康影響 | 化学物質が及ぼしうる地球環境問題や健康影響を理解する。 |
第5回 | 化学物質リスクアセスメント | リスクの概念を理解する。 |
第6回 | 実験廃液処理の重要性〜下水道法の歴史と水質汚染 | 講義時に課した関係法令や学内規則の復習。 |
第7回 | 模擬消火器訓練 | 消火器の使い方の予習。期末課題の提示。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
実験を安全に行うために 第8版 (化学同人)。その他、資料プリントを配布予定。
学生のための化学実験安全ガイド(東京化学同人)
講義時に課される課題(30%)、および学期末のレポート(70%)。
特になし
小野 公輔:k.ono[at]chem.titech.ac.jp
小野公輔:講義終了後、またはメールで事前予約し、教員室で質問に応じる。