本講義では、有機化学第一、有機化学第二、有機化学第三で学んだ有機化学の知識を理解し、高度の有機実験操作を修得するために、実際に手を動かして実験を行う。具体的には、立体異性体,有機金属化合物,複素環状化合物,及び天然有機化合物などの合成,有機機器分析並びに有機反応機構などに関する実験を行う。各自の実験結果を実験レポートしてまとめて提出する。さらに、実験結果については、ディスカッションを通じて理解度を深める。
有機化学の知識については講義科目を通じて学ぶことができるが、化学研究は実験により実施することが多いので、実際に体験しておくと今後に役立つ。有機実験に特有の実験操作が多くあるので、実験を通してそのやり方を修得することが目的である。座学と実学との関係を実体験を通じて学ぶことも狙いである。
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1) 有機実験の高度な操作を修得することができる。
2) 有機化合物の高度な構造解析ができる。
3) 高度な有機実験方法、実験レポートの内容を説明できる。
4) 講義で学んだ全ての有機反応と実際の反応との関係を対応させることができる。
有機化学実験、アセト酢酸エチルのアルキル化、活性メチレン化合物、Benzoin 縮合、還元反応の立体選択性、骨格転位反応、Claisen転位反応、クロスカップリング反応
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義日には、化学科学生実験室にて学生実験を行う。担当教員の指示にしたがい、授業外の十分な予習・復習・レポート作成が必要である。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | アセト酢酸エチルのアルキル化と脱炭酸(反応の実施) | 実験の予習、結果の考察 |
第2回 | アセト酢酸エチルのアルキル化と脱炭酸(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察 |
第3回 | 活性メチレン化合物;6員環化合物の合成(反応の実施) | 実験の予習、結果の考察 |
第4回 | 活性メチレン化合物;6員環化合物の合成(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察、実験レポート |
第5回 | Benzoin 縮合(反応の実施) | 実験の予習、結果の考察 |
第6回 | Benzoin 縮合(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察 |
第7回 | 還元反応の立体選択性(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察、実験レポート |
第8回 | 骨格転位反応(基質の準備) | 実験の予習、結果の考察 |
第9回 | 骨格転位反応(反応の実施) | 実験の予習、結果の考察 |
第10回 | 骨格転位反応(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察、実験レポート |
第11回 | Claisen転位反応(反応の実施) | 実験の予習、結果の考察 |
第12回 | Claisen転位反応(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察 |
第13回 | クロスカップリング反応(生成物の単離、精製及び機器分析等による生成物確認) | 実験の予習、結果の考察、実験レポート |
第14回 | 有機化学総合実験の解説およびディスカッション | 実験レポートと関連する課題 |
第15回 | 有機化学総合実験のまとめ、実験室整理 |
東京工業大学理学部化学科 有機化学教室編「有機化学実験書」
有機化学実験(フィーザー/ウィリアムソン)、ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)、(下)
レポート内容 (70%) 、実験操作の理解度および実験態度 (30%) を総合的に判断する。
有機化学第一、有機化学第二、有機化学第三、有機化学基礎実験を履修していることが望ましい。
ディスカッション終了後、もしくはメールで事前予約し、各教員室で質問に応じる。