巨視的立場から反応を議論するために、反応速度、反応速度定数、反応速度式、反応次数、反応の分子数などの概念を学び、1次反応と2次反応については、反応速度式を実際に解いてそれらの特徴を理解する。次に分子論的立場から反応を議論することを目指し、遷移状態理論を用いてアレニウス式の導出に挑む。さらに反応速度定数に代わる反応断面積なる概念を学び、両者の関係を導出する。最後に凝縮相における反応の一例として拡散律速反応を学ぶ。
本講義により、反応を取り扱うための基本的処方箋を身につけることを目指す。
化学反応を物理化学の立場から理解するための基礎を身につけることを目的とする。
1)巨視的立場からの化学反応の基礎を理解し、さらに分子論的立場から反応を議論できるようになる。
2)拡散律速反応を例に、凝縮相における反応の基礎を理解する。
反応速度論、遷移状態理論、拡散律速反応
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
最初の5回が巨視的立場から見た反応に対応し、次の8回が微視的立場から見た反応に対応します。最後の2回が凝縮相における反応に対応します。各授業は主として講義により構成されます。時々、小テストを授業中に出します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 巨視的立場から見た反応(反応速度、反応速度定数、反応速度式) | 反応の速さに関わる基礎概念を理解できるようになる。 |
第2回 | 巨視的立場から見た反応(反応次数、反応の分子数)、1次反応の特徴 | 反応次数と反応の分子数の違いを理解できるようになる。1次反応の特徴を理解できるようになる。 |
第3回 | 2次反応の特徴と擬1次反応 | 2次反応と擬1次反応の特徴を理解できるようになる。 |
第4回 | 反応中間体 | 反応中間体とは何かを理解できるようになる。 |
第5回 | 複雑な反応の解析(定常状態近似) | 複雑な反応を解析するために有効な定常状態近似を理解できるようになる。 |
第6回 | アレニウス式とは? | アレニウス式とは何か、および活性化エネルギーなる概念を理解できるようになる。 |
第7回 | Born-Oppenheimer近似 | Born-Oppenheimer近似の理解 |
第8回 | 2分子反応とポテンシャルエネルギー | 2分子反応をポテンシャルエネルギー面を用いて説明できるようになる。 |
第9回 | 遷移状態理論(遷移状態とは何か?) | 遷移状態理論の概略を説明できるようになる。 |
第10回 | 遷移状態理論(アレニウス式への道) | 遷移状態理論を用いてアレニウス式を導出できるようになる。 |
第11回 | 2粒子衝突としての反応(1)-衝突断面積 | 衝突断面積とは何かを説明できるようになる。 |
第12回 | 2粒子衝突としての反応(2)-2分子反応と衝突 | 2分子反応が衝突の一つとみなせることを理解する。 |
第13回 | 2粒子衝突としての反応(3)-反応断面積と速度定数 | 2分子反応の速度定数と反応断面積の関係を導けるようになる。 |
第14回 | 凝縮相における反応 -拡散と伝導、及び拡散律速反応の速度定数 | 溶質の拡散と伝導、及び拡散律速反応を理解し、拡散律速反応の速度定数を求めることができるようになる。 |
テキストを配布する。
アトキンス物理化学(東京化学同人)
Steinbeldら(佐藤伸訳)「化学動力学」(東京化学同人)
期末試験、授業中の小テストおよび授業後に課すレポート課題(複数)により評価する。基本的事項の理解及びその問題適応力を試す。
授業中の小テスト 10%
授業後に課すレポート 10%
期末試験 80%
量子化学序論(CHM.C201)と化学統計熱力学(CHM.C202)の単位を取得しておくことが望ましい。反応物理化学序論演習(CHM.C303 )をあわせて履修することが望ましい。
河内宣之 nkouchi[at]chem.titech.ac.jp
北島昌史 mkitajim[at]chem.titech.ac.jp
メールで予約すること。
河内宣之(西4号館508号室)
北島昌史(西4号館503号室)