【概要】
実験を通じて無機・分析化学分野の基礎知識を理解すると共に、化学実験の基本操作、環境安全に配慮した実験姿勢を身につける。イオン結晶の合成実験では、秤量、加熱熟成、ろ過、再結晶などの化学における基礎的な実験操作を習得する。中和と酸化還元に関する滴定実験では、溶液の調製法や定量技術を学ぶ。クロマトグラフィーによるイオン種の分離や分光法・重量分析による化学種の定量方法も習得する。
【ねらい】
各種無機結晶の合成実験を通じて、ろ過、再結晶、熟成などの基本操作を習得する。また、酸化還元や中和を題材とした滴定実験により、溶液試料の調整や定量方法を学ぶとともに、クロマトグラフィーによるイオン種の分離や吸光光度法による分析についても扱う。これらはより高度な化学実験を行う上での基礎として重要である。
本実験科目を通じて以下の能力を習得する。
(1) 化学各分野の基礎知識
(2) 化学実験の基本操作
(3) 化学実験を安全に行うために必要な知識
(4) 環境安全に配慮した実験姿勢
(5) 実験操作の正確な記述、実験レポートの記述法
錯塩、複塩、クロマトグラフィー、分光分析、酸化還元滴定、中和滴定、重量分析
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各テーマごとに1〜3回分の授業時間を使って、計7つのテーマの実験を行う。各実験テーマの前には教科書を予習し、実際に行う実験操作やその意味を把握しておくことが必須である。実験終了後、実験の意義や操作・結果・考察などをまとめたレポートを提出してもらう。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 化学実験を安全に行うために | 化学実験を安全に行うためのガラス器具の取り扱いと初歩的な実験操作 |
第2回 | 硫酸銅の合成と再結晶 | 再結晶法を用いた硫酸銅結晶の精製 |
第3回 | 錯塩の合成 | 金属錯体の合成、精製と立体構造 |
第4回 | 複塩の合成 | 複塩の合成と再結晶および性質 |
第5回 | イオン交換クラマトグラフィーによるクロムイオン錯体の分離 | クロムイオン錯体溶液の調整及びカラムによるクロムイオン錯体の分離 |
第6回 | クロムイオン錯体の分光測定 | 分離したクロムイオン錯体の可視スペクトルの測定と同定 |
第7回 | 酸化還元滴定(溶液調製) | 容量分析の基準となる、標準濃度溶液の調製と正確な濃度の計算 |
第8回 | 酸化還元滴定(過マンガン酸カリ滴定) | 標準溶液による過マンガン酸カリ標定滴定、過マンガン酸カリ滴定による鉄(II)定量滴定の理論・計算と実験手法の習得 |
第9回 | 酸化・還元滴定(ヨウ素滴定) | 標準溶液によるチオ硫酸ナトリウム標定滴定、ヨウ素滴定による銅(II)の定量滴定の理論・計算と実験手法の習得 |
第10回 | 中和滴定(標準溶液の調製と標定) | 中和滴定の標準水溶液となる水酸化ナトリウム水溶液と塩酸水溶液の調製と正確な濃度の標定 |
第11回 | 中和滴定(未知濃度試料の滴定) | 濃度未知のリン酸水溶液の濃度および炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム粉末試料の混合比の中和滴定による定量 |
第12回 | 重量分析(硫酸銅水和物中の結晶水の定量、銅錯体の合成) | 定量的化学操作を学ぶ、有機沈殿剤を用いた銅錯体の合成をする |
第13回 | 重量分析(硫酸銅水和物中の結晶水の定量、銅イオンの定量) | 定量的化学操作を学ぶ、有機沈殿剤を用いた定量分析を学ぶ |
第14回 | レポート・プレゼンテーション1 | 行った実験に対する理解と発表・議論 |
第15回 | レポート・プレゼンテーション2 | 行った実験に対する理解と発表・議論 |
化学科無機・分析化学部門編 「無機・分析化学実験」
実験を安全に行うために(化学同人)
続 実験を安全に行うために(化学同人)
本科目では、第1回の講義を含む全ての実験に出席することが単位取得の必須条件である。
成績は、各実験のレポートと最終2回のレポート・プレゼンテーションにより評価する。
特になし