奇数回(八島担当)では、蛍石型構造やペロブスカイト型構造等がどのようなものであるか原子配列を理解し、状態図の見方、熱力学的なものの考え方を具体的な物質系を例に用いて学ぶ。セラミックスの電気伝導度が物質によって大きく変化すること、イオン伝導体など環境・エネルギー問題の解決に貢献する材料などの特性を学ぶ。
様々なセラミック材料の構造、熱力学と物性を理解して、デザインできるようになることを目的とする。
偶数回(小松担当)では、固体の表面に関する話題を提供する。主に金属および金属間化合物のナノ粒子を対象として、合成法、表面原子数の算出、表面で進行する吸着および触媒反応などを定量的に解説する。
省エネルギーおよび環境に優しい化学反応の実現に欠かせない触媒の働きを、定量的に理解することをめざす。
本講義を履修することにより、次の能力を修得する。
1)セラミックスの定義、結晶構造、化学結合、状態図と熱力学を説明できる
2)セラミックスの性質を説明し、構造との関係を考察できる
3)セラミック材料をデザインできる。
4)金属ナノ粒子の表面原子数、吸着点数、触媒活性点数を求めることができる
5)固体表面での吸着および反応を定量的に説明できる
6)金属および金属間化合物のナノ粒子の調製とキャラクタリゼーションの方法を理解する
セラミックス、結晶構造、化学結合、状態図、熱力学、電気的性質、イオン伝導、エネルギー・環境材料、機械的性質、電池材料、光触媒、誘電体
合金、金属間化合物、表面、分散度、吸着、触媒作用、ナノ粒子
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
(八島)スライドを用いて講義する。スライドを講義前に配信し、プリントアウトして予習することが必要である。グループディスカッションとクイズを実施する。
(小松)スライドを用いた講義形式で行い、毎回出席を取る。時々演習問題を実施し、正解した学生に解答を説明してもらう。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 無機材料(セラミックス)とは何か | 無機材料とは何か説明できる |
第2回 | 固体表面での吸着・脱離 化学吸着、吸着速度、吸着等温線 | 吸着平衡から吸着式を導出する |
第3回 | 結晶構造、イオン半径、化学結合 | 結晶構造、イオン半径、化学結合を理解する |
第4回 | 固体表面の触媒作用 活性点、選択性、寿命 | 触媒の3つの機能を理解する |
第5回 | 状態図と熱力学 | 状態図と熱力学を理解する |
第6回 | 固体表面上での触媒反応 ラングミュアー・ヒンシェルウッド機構、律速段階 | ラングミュアー・ヒンシェルウッド機構の速度式を導出する |
第7回 | 電気的性質 | 電気伝導の多様性、バンド構造、金属、半導体を理解する |
第8回 | 金属ナノ粒子の調製 調製法、構造、表面原子数・分散度 | 金属微粒子中の表面原子の割合を計算する |
第9回 | イオン伝導 | 燃料電池とイオン伝導体を理解する |
第10回 | 金属ナノ粒子の形態制御とキャラクタリゼーション 形態制御法、X線回折、透過電子顕微鏡 | 金属ナノ粒子の形態制御とキャラクタリゼーションを理解する |
第11回 | セラミックス各論 1 | リチウムイオン電池、誘電体、光触媒、機械的性質を理解する |
第12回 | 金属間化合物 構造、相図、特異な機能 | 金属間化合物とは何かを理解し、特有の機能を知る |
第13回 | セラミックス各論2 | リチウムイオン電池、誘電体、光触媒、機械的性質を理解する |
第14回 | 金属間化合物ナノ粒子の調製 調製法、粒子径、キャラクタリゼーション | 金属間化合物ナノ粒子の調製法とキャラクタリゼーションを理解する |
第15回 | 講義のまとめ | 固体化学を理解する |
(八島)テキストはOCWiで配信する.A. R.ウエスト著, 後藤ら訳, ウエスト 固体化学 基礎と応用, 講談社 (2016) を推奨する.
(小松)指定なし
(八島)戒能俊邦、菅野了次著 『材料科学 基礎と応用』 東京化学同人 (2008); Peter Atkins, et al. "Shriver and Atkins' Inorganic Chemistry," Fifth Edition, Oxford University Press, (2009); R. J. D. Tilly著, 滝澤ら訳, 固体材料の科学, 東京化学同人 (2015); 佐久間健人, セラミック材料学, 海文堂, ((1990).
(小松)指定なし
セラミックスとは何であるか,セラミックスの結晶構造、イオン半径と化学結合、状態図と簡単な熱力学、セラミックスの性質と特徴に関する理解度、および金属ナノ粒子などの固体表面上で進行する吸着と触媒反応の定量的表現および金属間化合物ナノ粒子の調製とキャラクタリゼーションについての理解度を評価する。中間試験・期末試験(各40%),演習・レポート(20%)で成績を評価する。
無機化学第一の単位を取得していることが望ましい