2023年度 光と物質 III   Light and Matter III

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開講元
物理学コース
担当教員名
納富 雅也 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
木3-4(M-102(H115))  
クラス
-
科目コード
PHY.C448
単位数
1
開講年度
2023年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2023年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

本講義「光と物質III」では、様々な固体/連続媒質中における光の振る舞いについて概説します。まず、連続一様媒質中における光の基本的な概念とその性質を整理したあと、様々な結晶(異方性結晶、磁気光学材料)、導波路、共振器、周期構造、金属、電気回路の中での光の性質について学びます。この中で、物質の光学的性質が何で決まっていて、その性能の限界が何で決まっているのかについて学び、その限界がどのように克服できる可能性があるかを考えてもらう予定です。
この講義の狙いは次の通りです。
(1)典型的な物質の光学的性質、特に光の分散、伝搬速度、光学定数、光学遷移レートに関する基本的な導出を学び、これらの基本的な光学的性質がどのような限界を持つかを学びます。
(2)上記の典型的な光学的性質が、周期構造や金属構造中では大きく変化することを学び、特にナノスケールの構造中では従来の物質の限界を破るような性質が発現することを学びます。
(3)物性や現象の物理限界を把握し、その限界を克服する手法について学びます。

到達目標

本講義を受講することによって、次の項目に関する理解を得ることをも目標とします。
(1) 様々な固体/連続媒質中における光の分散、光学遷移がどのように記述されるか
(2) 光導波路、光共振器の原理とその性質
(3) 固体/連続媒質中における光の閉じ込めの強さ、光の分散、光学遷移レートの限界がどこにあるのか
(4) 周期構造、金属構造、電気回路要素、ナノ構造によって、上記の通常物質の示す限界がどのように改変されるか

キーワード

光学、光の分散、結晶光学、磁気光学、光導波路、光共振器、金属光学、光学遷移、フォトニック結晶、プラズモニクス、メタマテリアル

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回、講義ノートを配布し、主にスライドを用いて授業を進めます。毎回、出席をとります。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 1:物質中の光について ・物質中のMaxwell方程式の導出とその意味 ・物質中の光の分散(Lorentzモデル)と誘電率/屈折率の導出 ・物質中の光の分散の限界 ・光の常識を決めている暗黙の仮定とは? ・物質中の光と真空中の光はどこが異なるのか? ・どこに近似が導入されているのか? ・典型的な誘電体の分散を記述するLorentzモデルを学ぶ ・物質中の光の分散の限界を何が決めているのか?
第2回 構造中の光(共振器と導波路) ・光の閉じ込め方法(共振器)の基礎とその限界 ・光導波路の基礎とその限界 ・典型的な光共振器の原理を学ぶ ・典型的な光導波路の原理を学ぶ ・光閉じ込めの限界を何が決めているか ・導波路の分散の限界を何が決めているか
第3回 結晶中の光(結晶光学と誘電率テンソル) ・異方性媒質と誘電率テンソル ・光学活性媒質 ・磁気光学媒質 ・誘電率テンソルの原理と意味について学ぶ ・各種の結晶の光学特性と誘電率テンソルの関係について学ぶ
第4回 周期構造中の光 ・ブラッグ反射 ・周期構造による分散(フォトニックバンド構造) ・フォトニックバンドギャップによる光閉じ込め ・バンド構造による光の分散の制御 ・周期構造におけるブラッグ反射とバンド構造の関係について学ぶ ・光のバンド構造によって、従来物質における光の閉じ込め限界と光の分散の限界を突破できることを学ぶ
第5回 金属中の光 ・金属中の光の分散(Drudeモデル) ・プラズマ反射 ・表面プラズモンポラリトンと光の閉じ込め ・プラズモニクス ・典型的な金属中の光の分散を記述するDrudeモデルについて学ぶ ・表面プラズモンモードの特徴について学び、これを利用することで光閉じ込め限界を突破できることを学ぶ
第6回 電気回路と光 ・金属導線中の電磁波 ・電気回路成分によって生じる光の分散 ・メタマテリアル ・金属回路中の電磁信号の伝播 ・キャパシタンスとインダクタンスの作用により誘電率/透磁率が生じることを学ぶ ・電気回路成分に起因する分散により、従来の光の分散の限界を突破できることを学ぶ
第7回 物質中における結像と発光 ・結像の古典限界とその限界克服 ・発光レートの古典限界とその限界克服 ・結像の古典限界を決めるのは何か? ・結像の古典限界を超える手法には何があるか? ・なぜ光学遷移は遅いのか? ・光学遷移をどこまで高速化できるか?

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,授業内容に関する予習と復習を行うこと。

教科書

講義ノートを配布します

参考書、講義資料等

特になし

成績評価の基準及び方法

レポートにより評価をする予定です(新型コロナの状況による)

関連する科目

  • PHY.C446 : 光と物質Ⅰ
  • PHY.C447 : 光と物質Ⅱ

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

notomi[at]phys.titech.ac.jp 03-5734-3831

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