本講義では、宇宙の様々な高エネルギー現象を取り上げ、その現象を支配する物理過程および放射機構について講義する。近年の宇宙観測の発展、とくにX線およびガンマ線観測の発展により、高エネルギー現象の理解は飛躍的に進んできている。様々な高エネルギー現象について、最新の観測成果と関連づけて講義する。また、現象の理解に必要な放射過程の基礎についても合わせて講義する。
これまでに学習した、力学、電磁気学、熱・統計力学、量子力学などの知識を活用し、最新の観測によって得られた高エネルギー現象を物理の観点から説明できるようになることが、本講義のねらいである。
本講義を履修することにより、次の能力を習得する。
1) 宇宙における高エネルギー現象の背後にある物理について説明できる。
2) 最新の観測により明らかになった高エネルギー現象を説明できる。
3) 宇宙での放射過程として重要な、黒体放射、レーリー散乱、光電吸収などの特徴について説明できる。
宇宙、天体物理学、天体、天文、観測
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
✔ 物理の基礎的な知識を応用し、宇宙で起きている様々な現象を理解できる専門力。 |
講義は、スライドを用いた最新の観測成果の解説と、板書(もしくは等価な方法)による現象説明を併用して進める。使用するスライドは基本的に英語で作成する(部分的に和訳を含む)。講義は原則英語で進めるが、適宜日本語も併用する。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 観測的宇宙物理学の基礎 | 宇宙の階層構造、宇宙の記述に使われる単位系、天文学の基礎用語が説明できる |
第2回 | 太陽風 | 太陽風の特徴をラバルノズルとの対比で説明できる |
第3回 | 縮退星の構造 | 縮退した星の質量と半径の特徴的な関係を説明できる |
第4回 | 放射過程の基礎 | 黒体放射、レーリー散乱、光電吸収について説明できる。 |
第5回 | 降着円盤 | 降着円盤の放射機構とスペクトルの特徴が説明できる |
第6回 | 衝撃波の基礎 | 衝撃波面での物理量の変化を説明できる |
第7回 | 超新星残骸 | 超新星残骸の進化(温度、密度、速度の時間変化)を説明できる |
学修効果を上げるため,参考書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。
特に無し
・岡村 定矩 他編、「シリーズ現代の天文学(全17巻)」、日本評論社 (特に8, 12, 17巻)
・G.B. Rybicki & A.P. Lightman "Radiative Process in Astrophysics" (John Wiley & Sons, NY)
レポート課題で到達目標の達成度を評価する。基準は当学院の通常の基準に従う。
特に定めないが、関連する科目を履修していることが望ましい。
堂谷忠靖, dotani.t.aa[at]m.titech.ac.jp