この科目では3つの基本的な物理実験に取り組んでもらう。2〜3週間に1回のペースで行い、各実験では準備期間を設け、実験内容を把握してもらう。各実験では二人一組を作り、共同で進めてもらう。各実験終了後に各自がレポートを作成し、提出する。
実験1では回折格子による分光器とデジタル・カメラを用いて水素・ヘリウム原子からの光や身の回りの光源からの光を測定する。実験2ではNaIシンチレータを用いてガンマ線の測定を行う。コバルト線源をもちいた測定では、ガンマ線2本の同時計測にも取り組む。実験3では荷電粒子である宇宙線ミュー粒子を捕え、寿命の測定を行う。3体崩壊の運動学や、弱い相互作用の基本結合定数の計算手法も身につける。
H29年度より、実験説明の一部は英語でも行われる。
基本的で重要な3つの物理実験を行い、その現象の背後にある物理法則を再考し、物理の原理を把握することを目的とする。実験1では水素・ヘリウムのバルマー系列の光を観測し量子力学による計算と比べる。実験2ではガンマ線と物質との相互作用を基本的なガンマ線測定を用いて理解する。実験3では宇宙線ミュー粒子の寿命を測定し、弱い相互作用の基本的定数を求める。学部のときに学んだ実験機器の扱い、データ処理の技術などを、実践することにより精練させ、修士論文研究の現場でも応用の効く本格的な技術を体得することを目的とする。
物理実験、データ処理、画像解析、ガンマ線測定、宇宙線測定
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
準備、実験室での実験、レポート作成の手順を3回繰り返す
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 第一回実験(原子の分光と量子力学:前半) | デジカメ画像解析の習得、量子力学計算との比較・考察 |
第2回 | 第一回実験 (原子からの特性X線と量子力学:後半) | デジカメ画像解析の習得、量子力学計算との比較・考察 |
第3回 | 第二回準備、及び第一回レポート作成(デジカメ画像解析、量子力学計算との比較・考察) | デジカメ画像解析の習得、量子力学計算との比較・考察 |
第4回 | 第二回実験 (NaIシンチレータによるガンマ線測定:前半) | エネルギースペクトル解析法、同時計測手法の習得 |
第5回 | 第二回実験 (NaIシンチレータによるガンマ線測定:後半) | エネルギースペクトル解析法、同時計測手法の習得 |
第6回 | 第三回準備、及び第二回レポート作成(エネルギースペクトル解析、同時計測手法) | エネルギースペクトル解析法、同時計測手法の習得 |
第7回 | 第三回実験 (ミューオンの寿命測定:前半) | 3体崩壊運動の計算、弱い相互作用基本定数の計算 |
第8回 | 第三回実験 (ミューオンの寿命測定:後半) 、第3回レポート作成(3体崩壊運動の計算、弱い相互作用基本定数の計算) | 3体崩壊運動の計算、弱い相互作用基本定数の計算 |
実験の手順、課題を記したテキストを受講生に配布する
受講者は前もって予習をし、実験当日持ち寄る。
中井浩二著 「実験の作法と安全」 吉岡書店
3回の実験後に提出されたレポート内容に基づき評価する。
特になし(理論系の学生にも推奨する)