2016年度 光と物質Ⅱ   Light and Matter II

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開講元
物理学コース
担当教員名
金森 英人 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
木3-4(H115)  
クラス
-
科目コード
PHY.C447
単位数
1
開講年度
2016年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2016年12月14日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では角運動量の量子論を分子の分光スペクトルという容易に観測出来る実験事実を通して説明する。
1) 複数の原子核と電子が構成する、少数多体系としての分子が有する運動の自由度を角運動量の視点から統一的に理解する。
2) そのために電子、振動、回転、電子スピン、核スピンの角運動量とその結合様式を量子論で扱う。
3) まずは最も簡単な2原子分子の電子・振動・回転状態の基本的事項を押さえた上で、電子スピン、核スピンを含む分子内相互作用の結果顕れる微細構造、超微細構造に分裂した固有状態について解説する。
4) 核スピン量子数まで特定された単一量子状態とコヒーレントな電磁波との相互作用を通して始めて実現できる物理実験の例を示す。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 分子の有する、電子、振動、回転、電子スピン、核スピン角運動量を量子論的に取り扱うことができるようにする。
2)それらの角運動量の間の相互作用を量子論的に取り扱い、分子の固有状態、固有エネルギーを取りあつかうことができるようにする。
3)その上で、紫外、赤外、マイクロ波との相互作用の結果として観測される電子、振動、回転スペクトルと
微細および超微細構造の関係を説明できるようにする。
4)物理学の基本問題を検証するために必要となる分子の単一量子状態と高精度の分光測定について理解することができる。

キーワード

分子結合、ボルンオッペンハイマー近似、分子軌道、電子励起状態、電子配置、紫外スペクトル、赤外スペクトル、マイクロ波スペクトル、微細構造、超微細構造、量子統計、単一量子状態

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義の要点や重要な数式、グラフ、図を一部マスクしたパワーポイント仕様の未完成な講義ノートを授業の始めに配布します。授業中は板書の代わりに、スクリーン上のパワーポイン画面に必要事項を書き加えながら説明していきます。諸君は説明を聞きながら、ブランク部を自分で書込・補填することによって完成版講義ノートとて下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 2原子分子の電子・振動・回転状態:1電子系 H2+イオンのハミルトニアンと固有状態 分子結合の起源を説明する。
第2回 2原子分子の電子状態:多電子系 O2分子の電子配置とスペクトル項
第3回 2原子分子と電磁波の相互作用 電子遷移、振動遷移、回転遷移の遷移モーメントと選択律
第4回 2原子分子の分光スペクトル 紫外、赤外、マイクロ波スペクトルから引き出せる情報
第5回 電子スピンを含む2原子分子の理論 スピンが関与する相互作用と微細構造
第6回 電子スピンを含む2原子分子の角運動量の理論 角運動量の合成, フントによる結合様式の分類
第7回 核スピン含む相互作用と量子統計 超微細構造と核スピン重率の起源を理解する。
第8回 分子と光の相互作用を使った物理学の基本問題の解明 超微細構造を分離した単一量子状態と高精度分光でできること。

教科書

随時、講義資料を配付

参考書、講義資料等

Spectra of Atoms and Molecules; Bernath (Oxford)    Molecular Quantum Mechanics; Atkins and Friedman (Oxford) 

成績評価の基準及び方法

授業中の小レポートと試験

関連する科目

  • PHY.C446 : 光と物質Ⅰ
  • PHY.C448 : 光と物質Ⅲ
  • PHY.C449 : レーザー物理

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし

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