まず身近な電磁気学において電磁場による荷電粒子の散乱等がどのように量子力学的に扱われたかを振り返ったのち、クライン・ゴルドン場、ディラック場、電磁場について相互作用のない自由場の場合の量子化の手法について学ぶ。さらに、正準形式を用いて相互作用を導入し、摂動論的な計算を行うための演算規則であるファインマン則を導出する。それらを用いて、実験において測定される散乱断面積や不安定粒子の崩壊確率などを計算し、測定された値が再現されることを見る。
場の量子論は、相対論と量子論を融合した無限自由度を扱う量子力学である。
この講義では、高エネルギー物理学や物性物理への応用を念頭においた量子場の理論の基礎を習得することをねらいとする。
【到達目標】 本科目では、素粒子の振る舞いを記述する基本的な道具である場の量子論、特に相対論的な場の量子論について学び、ファインマン則を用いた散乱振幅の計算によって散乱断面積等の物理量を計算できるようになることを到達目標とする。
【テーマ】 素粒子論に現れるスカラー粒子、フェルミオン粒子、光子などについて、対応する場の性質と、その量子化の手法について学ぶ。また、素粒子の間の相互作用を計算するためのファインマン則を導出し、それを用いて素粒子間の相互作用を摂動論的に計算し、実際に測定される散乱断面積や崩壊確率等を計算する手法を学ぶ。
量子場の理論, Klein-Gordon場, Dirac場, 電磁場, Feynman則, 摂動論
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義は基本的に英語で行う。また各講義後に関連する話題について宿題を出す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 場と粒子、第二量子化、電磁場と光子 | 場とその量子化の必要性について理解する |
第2回 | 場の理論のラグランジアン | 場とそのラグランジアンの理解 |
第3回 | 対称性と保存則、ネーターの定理 | 場の理論における対称性について理解する |
第4回 | クライン・ゴルドン場の量子化 | クラインゴルドン場の量子化を理解する |
第5回 | ウィックの定理、伝播関数 | 自由スカラー場の相関関数について理解する |
第6回 | ディラックスピノル、ディラック方程式 | Diracスピノルとその方程式が満たすDirac方程式を理解する |
第7回 | ディラック行列とその性質 | Dirac行列の性質を理解する |
第8回 | ディラック場の量子化 | Dirac場の量子化を理解する |
第9回 | ゲージ対称性、電磁場と荷電粒子の相互作用ラグランジアン | ゲージ対称性と電磁場と相互作用する場のラグランジアンを理解する |
第10回 | 電磁場の伝播関数 | 電磁場の量子化を理解する |
第11回 | 散乱行列 | 散乱行列を理解する |
第12回 | 相互作用表示 | 散乱行列の相互作用表示を理解する |
第13回 | 正準形式によるファインマン則の導出 | Feynman 則の導出を理解する |
第14回 | 4点散乱振幅の計算 | 4点散乱振幅の計算法を理解する |
第15回 | 散乱断面積、崩壊確率等の計算例 | 散乱断面積、崩壊確率の計算を理解する |
特に指定しない
講義中に示す。
レポートにより評価する
特になし