学部の講義「素粒子物理学」に引き続き、素粒子の体系と相互作用を記述する標準模型のより高度な内容を、歴史的実験事実を踏まえて修得する。素粒子物理学は理論によるラグランジアン記述と実験による粒子測定がお互いを進めあって発展してきた。理論的予言と実験的発見の絡みを実感できるようにオリジナルの論文内容も紹介する。
本講義のねらいは、受講者が理論的な背景を把握することとともに、測定器に関しても様々な実験で実際に得られた測定結果の図などを使い理解させることにある。
講義では素粒子標準模型が歴史的な発見や測定をもとに解説される。最先端の高エネルギー素粒子物理の話題や、実践的な検出器の解説が行われる。
受講者はこれらの解説をしっかりと理解し、発展的な考察をすることを目標とする。また、低エネルギー素粒子原子核実験から高エネルギーコライダー実験までの先端的な話題に触れ、分野全体を俯瞰できるようになることを目標とする。
素粒子、標準模型、電子、μ粒子、ニュートリノ、クォーク、レプトン、ヒッグス、コライダー,飛跡検出、運動量測定、エネルギー測定、標準模型を超える物理
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
スライドを用いた講義を行う。場合によりグループディスカッションを行うこともある。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:標準模型の復習 | 標準模型の基礎を思い出す |
第2回 | π中間子の量子数の測定 | 量子数の基本、実験的な決定法などについて学ぶ |
第3回 | K中間子の量子数の測定 | 前回同様に量子数を扱う。 |
第4回 | CP対称性の破れ | 物質、反物質間の非対称性について学ぶ |
第5回 | 電弱統一理論 | 電弱統一理論の背後にある理論、実験的な検証について学ぶ |
第6回 | ヒッグス機構、ヒッグス粒子の発見 | ヒッグス場の意味、ヒッグス探索のまとめを理解する |
第7回 | 核子のパートン構造 | 核子など原子核レベルの構造について復習し理解する |
第8回 | スケーリングの破れとQCD | QCDの基礎から応用にかけて学ぶ |
第9回 | ニュートリノの導入と実験的発見 | ニュートリノ物理の基礎、実験的な背景を学ぶ |
第10回 | ニュートリノ振動とニュートリノ質量 | 最先端のニュートリノ物理を理解する |
第11回 | 加速器の原理と実際 | 高エネルギー物理学の基礎となる加速器について基礎を復習する |
第12回 | カロリメーターによるエネルギー測定 | エネルギーの測定の原理、各種検出方法について学ぶ |
第13回 | 粒子識別測定器 | 各種の素粒子検出器について学ぶ |
第14回 | バーテックス測定器と飛跡再構成 | 最先端の検出器の中で最も微細な精度で飛跡を測る飛跡検出器について学ぶ |
第15回 | 高エネルギー物理学の最新のトピックス | 最先端の探索実験などに触れる |
特になし
Perkins "Introduction to High Energy Physics" (Cambridge)
授業時小テスト(約30%)、期末テスト(約70%)による。
素粒子物理学を履修していることが望ましい。