本演習では講義(PHY.Q208)に則して量子力学の問題の解決方法を学ぶ。自らの手で演習問題を解くことにより、原子模型や角運動量についての理解を深め、二次元および三次元の調和振動子、水素原子、角運動量の合成、シュレーディンガー方程式の近似解などの発展的な問題を解く能力を獲得することをねらいとする。
二次元および三次元の調和振動子や水素原子の系のシュレーディンガー方程式を解けるようになる。また、角運動量の合成の計算を行うことができるようになる。さらに、摂動論や変分法を用いて近似解を得ることができるようになる。
角運動量、合流型超幾何関数、球面調和関数、摂動論、変分法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
演習問題を配布するので、それを次回の授業までに解くこと。授業では担当を決めて解答を発表してもらい、問題解説と質疑応答を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 準備 | 必要な数学公式を復習する。 |
第2回 | 調和振動子 | エルミート多項式について学び、調和振動子に問題を解く。 |
第3回 | 角運動量演算子 | 角運動量演算子とルジャンドル多項式、ルジャンドル陪関数について学ぶ。 |
第4回 | 球面調和関数 | 球面調和関数について、および角運動量演算子の代数的構造について学ぶ。 |
第5回 | 合流型超幾何関数 | ラゲール多項式とラゲール陪多項式について学ぶ。 |
第6回 | 水素原子 | 水素原子の問題を解く。 |
第7回 | 等方型調和振動子 | 等方型の二次元および三次元調和振動子の問題を解く。 |
第8回 | ディラックの記法 | ディラックのブラケット記法について学ぶ。 |
第9回 | 磁場中の荷電粒子 | 磁場中の電子が示すランダウ準位、ゼーマン分裂、アハラノフ・ボーム効果について学ぶ。 |
第10回 | スピン角運動量 | スピン角運動量について学ぶ。 |
第11回 | 角運動量の合成 | 角運動量の合成について学び、スピン間相互作用やスピン軌道相互作用の問題を解く。 |
第12回 | 摂動論 | 縮退がない場合の摂動論の問題を解く。 |
第13回 | さらに摂動論 | 縮退がある場合の摂動論の問題を解く。 |
第14回 | 光学遷移の選択則 | 時間に依存する系の摂動論の問題を解き、電磁場中の原子における電気双極子遷移の選択則について学ぶ。 |
学修効果を上げるため,授業で配布する演習問題について予習と復習をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義科目(PHY.Q208)に準ずる。
江藤幹雄『パリティ物理教科書シリーズ 量子力学Ⅰ』(丸善出版)
岡真『パリティ物理教科書シリーズ 量子力学Ⅱ』(丸善出版)
シッフ著、井上健訳『新版 量子力学(上)』(吉岡書店)
発表およびレポートで評価する。
なし