2018年度 宇宙物理学   Physics of the Universe

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開講元
物理学系
担当教員名
河合 誠之 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火5-6(H116)  金5-6(H116)  
クラス
-
科目コード
PHY.F352
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2018年8月2日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では、宇宙物理学および天文学の基礎的な知識を紹介し、宇宙現象を理解するのに必要な物理の理論的枠組みについて入門的な説明をする。重力波、ブラックホール、中性子星、超新星爆発、γ線バースト、ビッグバンなどいくつかの興味深い天体や天体現象の具体例を紹介し、地上実験では決して実現されないような物理現象がどの物理法則によって生じているのかを概説する。
本講義のねらいは、日常感覚からかけ離れた天体現象であっても、基本的な物理法則から定性的な理解が可能であることを体感することである。また、物理法則を具体的な天体現象に適用して物理量のオーダー推定(桁がわかる程度の概算)する訓練から、現実の問題での物理実践力を養うことを狙う。

到達目標

【到達目標】 最新の観測によって得られた宇宙像と未解明の問題を紹介する。そのために必要な天体現象に関わる基礎的な概念と知識を習得し、物理法則にもとづいて天体現象を概念的理解する。
【テーマ】 宇宙は、人類にとって最も魅力的な知的対象である。その探求は、太陽や月から始まり、惑星、恒星へと広がり、さらに、天の川銀河を飛び越え、宇宙の果てまで及んできた。その面白さに物理学の観点から触れる。

キーワード

天体の放射過程、電磁波、恒星の構造、恒星の進化、超新星、超新星残骸、中性子星、ブラックホール、相対論的現象、宇宙ジェット、銀河、ガンマ線バースト、ハッブルの法則、ビッグバン、宇宙背景放射、重力波、望遠鏡

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

OCW-iに掲載する講義資料を学習し、予習課題を事前に解いてくることを前提として講義し、その中で課題の解説も行う。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 現代宇宙物理学の課題 天体現象と物理法則の関連を理解する
第2回 宇宙の距離の測り方 天体の距離の測定法と原理を列挙する。
第3回 輻射(放射)・黒体放射 黒体とみなせる恒星のスペクトルと放射エネルギーを示せ。
第4回 恒星の内部構造 恒星の構造を決める基本方程式を示せ。
第5回 恒星の一生と死 主系列時期から終焉までの恒星の進化を説明せよ。
第6回 超新星残骸と宇宙線 超新星残骸のセドフ解を近似的に導け。
第7回 中性子星 パルサーの年齢と表面磁場を回転周期とその変化率から推定する式を導け。
第8回 X線連星 X線連星の標準的な中性子星のエディントン光度とそれに対応する物質降着率を求めよ。
第9回 ブラックホール ブラックホールの存在を観測的に確かめる方法を述べよ。
第10回 宇宙ジェットと超光速火の玉 ガンマ線バーストのコンパクト問題が相対論的運動によって解決できることを示せ。
第11回 宇宙の始まりと宇宙背景放射 膨張宇宙モデルで宇宙項と曲率が0の場合においてハッブル定数と宇宙の年齢の関係を示せ。
第12回 宇宙初期の星と銀河 宇宙の再電離とは何か、またその時期の天体の観測が可視光ではなく赤外線で行われる理由を説明せよ。
第13回 短いγ線バーストと重力波 なぜ短いγ線バーストの起源が中性子星連星の合体と考えられるのか、長いγ線バーストと対比して説明せよ。
第14回 さまざまな観測手段 さまざまな波長の電磁波の観測に使われる装置の基本的な電磁波検出原理を説明せよ。
第15回 未解明の問題 宇宙に関わる未解決の重要な問題を挙げて説明せよ。

教科書

教科書は使わない。資料はOCWに掲載する。

参考書、講義資料等

岡村定矩『天文学への招待』[朝倉書店]
尾崎洋二『宇宙科学入門』[東京大学出版会]
天文学会100周年記念事業「シリーズ現代の天文学」全17巻[日本評論社]
福江純・沢武文編『超・宇宙を解く−現代天文学演習』[恒星社厚生閣]

成績評価の基準及び方法

講義でのクイズ提出(15%)および期末試験(85%)により評価する。

関連する科目

  • LAS.P101 : 力学基礎1
  • LAS.P102 : 力学基礎2
  • PHY.E205 : 電磁気学
  • PHY.Q207 : 量子力学入門
  • PHY.S301 : 統計力学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

履修の条件は設けないが、力学、電磁気学、量子力学、統計物理学の基本を履修していることが望ましい。

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