2016年度 原子核物理学   Nuclear Physics

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
物理学系
担当教員名
柴田 利明 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火1-2(H135)  金1-2(H135)  
クラス
-
科目コード
PHY.F350
単位数
2
開講年度
2016年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2016年1月11日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

原子核は強い相互作用(核力)で結びついた陽子と中性子から成る有限量子多体系である。高密度で量子的性質を示す一方で、半古典的描像もあわせもつユニークな系である。原子核の構造の特徴、核力の性質、β崩壊やγ崩壊等の基本について講義する。素粒子物理学との関連性、宇宙での元素合成や中性子星などの核物理の応用・展開にも触れる。最近進展している不安定核物理や核子のクォーク・グル―オン構造などの最先端の核物理についても紹介する。

この科目のねらいは、物質を構成する原子の中にあって基本的な役割を果たしている原子核の基礎について理解し、強い力としての核力の特徴を把握して殻構造などの原子核の特性を理解できるようになることである。量子力学の最初の応用例として原子核を学ぶこともねらいの1つである。

到達目標

【到達目標】本講義を履修することにより原子核物理の基本を理解することを目標とする。
特に、量子多体系としての原子核構造、核力(強い相互作用)の性質、β崩壊(弱い相互作用)
やγ崩壊(電磁相互作用)を理解する。さらに核物理が宇宙物理学や素粒子物理にどのように
応用されているかなども学ぶ。
【テーマ】原子核の大局的特性、大きさと質量、核力と強い相互作用、殻構造、原子核の変形および集団運動、
ベータ崩壊、ガンマ崩壊、不安定核、ハイパー核、クォーク物理、宇宙核物理をテーマとする。

キーワード

原子核、結合エネルギー、α崩壊、β崩壊、γ崩壊、アイソスピン、核力、湯川中間子論、π中間子、湯川ポテンシャル、フェルミ気体模型、殻模型、魔法数

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

黒板を使って要点を説明するほか、演示実験を行う。具体的な問題も扱い、それについて学生に黒板に解答を書いてもらい口頭でも説明をしてもらう。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 原子核の大局的特性 原子核の特徴を挙げて説明しなさい。
第2回 原子核の大きさ 原子核と原子の大きさの比を述べなさい。
第3回 原子核の質量、結合エネルギー 質量公式とそれに基づく結合エネルギーを説明しなさい。
第4回 原子核のフェルミ気体模型 原子核中のフェルミ気体模型と金属中の電子のフェルミ気体模型の共通点・差異を説明しなさい。
第5回 核力 (1)中間子論と湯川ポテンシャル 核力の到達距離を述べなさい。
第6回 核力 (2)核力、強い相互作用の特徴 核力の結合定数の大きさを説明しなさい。
第7回 殻構造 (1)平均場ポテンシャル 平均場ポテンシャルの形状の特徴を述べよ。
第8回 殻構造 (2)魔法数、閉殻構造、一粒子軌道 魔法数が出現する理由を説明しなさい。
第9回 原子核の変形 原子核の変形の種類を述べなさい。
第10回 原子核の集団運動 集団運動と殻模型の関係を述べなさい。
第11回 ベータ崩壊 (1)ベータ崩壊の様式、フェルミ理論 ベータ崩壊の寿命がどのように決まるかを説明しなさい。
第12回 ベータ崩壊 (2)弱い相互作用のパリティ非保存 パリティとは何か、を説明しなさい。
第13回 ガンマ崩壊 γ線の多極度とパリティの関係を説明しなさい。
第14回 原子核物理の最前線 (1)不安定核物理、宇宙核物理 不安定核が元素合成にどのように寄与するかを説明しなさい。
第15回 原子核物理の最前線 (2)ハイパー核、クォーク物理 ハイパー核がどのようにして作られるかを説明しなさい。

教科書

教科書については授業中に説明する。

参考書、講義資料等

「素粒子・原子核物理入門」(B.ポッフ、K.リーツ、C.ショルツ、F.サッチャ著、柴田利明訳、丸善)、
「原子核物理学」(八木浩輔著、朝倉書店)

成績評価の基準及び方法

試験、授業中の討論への参加、およびレポートによる

関連する科目

  • PHY.Q207 : 量子力学入門
  • PHY.F351 : 素粒子物理学
  • PHY.F352 : 宇宙物理学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

量子力学の基礎を修得していること。。

このページのトップへ