四次元多様体論のDonaldson理論の幾何解析的側面の解説を行う.特に,モジュライ空間の(非)コンパクト性について,その背後のカラクリであるバブル解析を基礎から説明したい.バブル解析の典型であるUlhenbeckコンパクト性を詳しく説明することで,幾何解析そのものへの入門とすることも目論んでいる.
四次元多様体には,その幾何に由来する非線型偏微分方程式として反自己双対方程式が定義される.その非線型偏微分方程式の解がインスタントンであり,インスタントンの全てからなる空間がモジュライ空間である.四次元多様体のトポロジーとその上のインスタントンのモジュライ空間の幾何との蜜月の関係を喝破したのがDonaldsonであった.四次元多様体を深く調べるには反自己双対方程式がわからねばならない.その解析の基礎を与えるのがUhlenbeckのバブル解析である.本講義では,幾何解析とゲージ理論の基礎から始めて,Uhlenbeckコンパクト性の証明まで最速で到達することを目指す.
・接続や曲率がわかって,反自己双対方程式が書けるようになること.
・ゲージ変換とは何かを理解すること.
・Sobolev空間は怖くないとわかること.
・共形不変性とインスタントンのモジュライ空間の非コンパクト性の関係を理解すること.
反自己双対方程式・インスタントン・モジュライ空間・Uhlenbeckコンパクト性・バブル
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 次の内容を説明する予定である. ・接続と曲率とゲージ変換 ・反自己双対方程式とインスタントン ・インスタントンのモジュライ空間の非コンパクト性の例 ・バブル解析のアイデア ・大域的スライスとCoulombゲージ ・曲率写像が固有写像であること. ・平均値の定理とChern-Simons不変量と反自己双対方程式 ・Uhlenbeckコンパクト性の証明 | 課題は講義中に指示する. |
使用しない.
講義中に指示する.
レポート課題(100%)による.
可微分多様体についての基礎知識