ゴールドマン・リー代数と呼ばれる、向きづけられた曲面に付随する(無限次元)リー代数について述べる。このリー代数は曲面上の曲線の交叉を用いて記述され、低次元トポロジーの対象といって良いものであるが、その背景には曲面上の平坦束のモジュライ空間という幾何的なものがある。本講義では、ゴールドマン・リー代数の定義について周辺事項と共に説明した後に、次の二つのテーマを解説する。(1)デーンツイストと呼ばれる曲面の自己微分同相写像のゴールドマン・リー代数を用いた記述。(2)ゴールドマン括弧積(およびトュラエフ余括弧積)の形式性と呼ばれる性質。
曲面上の曲線たちの交叉の様子から興味深い代数的構造が抽出され、それを用いて曲面上の自己微分同相写像や曲面の写像類群を調べられることを説明したい。
・ゴールドマン・リー代数の定義を理解すること。
・デーンツイストの対数の記述を理解すること。
・シンプレクティック展開の定義を理解すること。
・トュラエフ余括弧積の定義を理解すること。
・ゴールドマン括弧積とトュラエフ余括弧積の形式性を理解すること。
ゴールドマン括弧積、トュラエフ余括弧積、デーンツイスト、曲面の写像類群
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 以下の内容について講義する予定である。 ・曲面の基本群とホモロジー群 ・有限階数自由群の降中心列と付随するリー代数 ・ゴールドマン括弧積 ・デーンツイストの対数の記述 ・一般デーンツイスト ・シンプレクティック展開 ・トュラエフ余括弧積 ・ゴールドマン括弧積とトュラエフ余括弧積の形式性 | 講義中に指示する. |
使用しない
使用しない
レポート課題(100%)による.
多様体論の基礎的な知識を有すること。