2018年度 数学特別講義F   Special lectures on advanced topics in Mathematics F

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
数学コース
担当教員名
小野寺 有紹  赤木 剛朗 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
集中講義等   
クラス
-
科目コード
MTH.E436
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2018年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

[概要]
この講義では, 関数解析的手法を用いた非線形拡散方程式の解析について概説する. 非線形拡散方程式は拡散現象に対する古典論から逸脱する現象を記述するために導入された非線形偏微分方程式だが, その解析には主要部の退化性・特異性からフーリエ解析などの古典的な手法の適用に制限が生じるなど数学的な困難を伴う. また, 拡散方程式とは異なる解の性質や挙動が知られており, 特に古典解のクラスに入らないような解を扱う必要が本質的に生じる. このような観点に於いて, 関数解析的手法は同方程式に対して効果的に機能することが知られており, これまで同手法を用いた多くの研究が成されてきた. 本講義では特に, 方程式の適切性(解の存在、一意性、初期値への連続依存性)や解の比較原理といった基本的な事実からはじめ, 解の漸近挙動やある種の安定性(定常解の安定性など)に関する問題とその解析について解説する.
[ねらい]
この講義では, 非線形拡散方程式に対する典型的な問題とそれらに対する理論や近年の研究動向について解説することで, 非線形放物型方程式に対する諸問題とそれらに対する関数解析的手法への理解を促す.

到達目標

・非線形拡散方程式の由来や退化性、特異性などの関連概念について理解する.
・非線形拡散方程式の解の特徴、特に古典的な拡散方程式との違いについて理解する.
・関数解析的手法に基づく、方程式の適切性や解の比較原理などに対する証明法について理解する.
・解の漸近挙動や漸近形、また定常解や漸近形の安定性など、諸問題の内容について理解する.
・さらにそれらの問題に対する関数解析的手法を用いた解析について理解する.

キーワード

非線形拡散方程式, 退化性・特異性, 関数解析的手法, 解の漸近挙動, 安定性解析

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 以下の項目について順を追って講義する. 1.非線形拡散方程式とその特徴 導出例、Fickの法則による解釈、特解(ZKB解)の性質 2.適切性(解の存在, 一意性, 初期値への連続依存性)と比較原理 適切性の問題に対するさまざまなアプローチ, 非線形半群理論, エネルギー法, 力学系 3.解の長時間挙動と漸近形 初期値境界値問題に対する解の減衰評価, 漸近形の定義と存在, 特徴付け 4.漸近形の安定性 漸近形に対する安定性の概念, 関数空間上で孤立した漸近形の安定性解析 5.Łojasiewicz-Simon不等式とその応用 関数空間上で集積する漸近形の例, またそのような漸近形への収束とその安定性解析 6.関連する話題 講義中に指示する

教科書

使用しない

参考書、講義資料等

J.L. Vázquez, The porous medium equation. Mathematical theory, Oxford Mathematical Monographs, The Clarendon Press, Oxford University Press, Oxford, 2007.

成績評価の基準及び方法

レポート課題(100%)による.

関連する科目

  • MTH.C351 : 函数解析

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

なし

このページのトップへ