本講義では、債務者(お金を借りた相手)が、その債務を不履行する(「デフォルト」という。つまりお金を約束通り返済しない)ことで、債権者(お金を貸した側)が金銭的な損失を被る可能性(一般に「信用リスク」という)に関して確率的に分析するための数理モデルを紹介し、信用リスクを内包する社債やCDSなどのクレジット・デリバティブズといった金融商品の価格付けや、銀行などの多数の貸付ポートフォリオのリスク評価などへの応用法について紹介する。
また、近年デリバティブ取引において重要とされているカウンターパーティリスクについても、基本から最先端の研究の一端まで私なりに紹介できればと考えている。
信用リスクのモデル化における数学的部分の面白さにも言及するが、実際の金融市場で観測されている現象をうまく説明するためには、どのようにモデルを適用していくのがよいのか、という応用的な視点も提示したいと考えている。
・信用リスクに関連してどのような数理的に困難な問題があるかを知ること
・数理ファイナンスにおける信用リスク・モデルの2つの代表的アプローチ(構造型と誘導型)の基本的な考え方と基本的な数理手法を理解すること
・ポートフォリオレベルの信用リスクのモデル化の基本的なアプローチと基本的な数理手法を理解すること
・カウンターパーティリスクのモデル化の基本的なアプローチと基本的な数理手法を理解すること
信用リスク、構造型モデル、ハザードレート、社債、CDS、デフォルト依存関係、カウンターパーティリスク
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:信用リスクに関連する数理的問題 | 講義中に指示する |
第2回 | デフォルトの構造型モデル(1) | 講義中に指示する |
第3回 | デフォルトの構造型モデル(2) | 講義中に指示する |
第4回 | ハザードレートモデル(1) | 講義中に指示する |
第5回 | ハザードレートモデル(2) | 講義中に指示する |
第6回 | ハザードレート過程モデルへの拡張(1) | 講義中に指示する |
第7回 | ハザードレート過程モデルへの拡張(2) | 講義中に指示する |
第8回 | 不完全情報下でのモデル | 講義中に指示する |
第9回 | ポートフォリオの信用リスク(1) | 講義中に指示する |
第10回 | ポートフォリオの信用リスク(2) | 講義中に指示する |
第11回 | ポートフォリオの信用リスク(3) | 講義中に指示する |
第12回 | ポートフォリオの信用リスク(4) | 講義中に指示する |
第13回 | カウンターパーティリスク | 講義中に指示する |
第14回 | CVA, DVA | 講義中に指示する |
第15回 | 信用リスクのモデル化に関するその他のトピックス | 講義中に指示する |
使用しないが、以下の参考書のいくつかの章の内容を中心に解説する予定
McNeil, Frey, and Embrechts, Quantitative Risk Management: Concepts, Techniques And Tools (revised edition), Princeton (2015)
レポート課題(100%)による
特になし