本講とこれに続く「解析学特論H」では数理ファイナンスの基本的な数学的概念とその全体像について解説する.
まずは一期間および多期間の二項モデルの下で, 裁定価格, マルチンゲール測度, 第一基本定理, 完全市場, アメリカンオプション問題等の概念を導入し議論する. ここで中心的な役割を果すのは離散時間マルチンゲールである.
本講義と続く「解析学特論H」によって数理ファイナンスの根幹を為すオプションの価格付け理論とそれに必要な数学的な道具を修得することを目指す. 本講義では離散時間の場合について数理ファイナンスの各種概念を離散時間マルチンゲールの言葉で理解し, これに続く「解析学特論H」で扱われる連続時間の場合の準備を整えることが目標である.
数理ファイナンス, (離散時間)マルチンゲール
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
板書と配布資料による
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 始めに: 価格とヘッジ/二項モデル/オプション価格(1) | 講義中に提示する. |
第2回 | マルチンゲール測度(離散時間)-1: 離散時間市場モデル/取引戦略 | |
第3回 | マルチンゲール測度(離散時間)-2: リスク中立価格/Black-Sholes formula | |
第4回 | 第一基本定理(1): 平面分離定理/マルチンゲール測度の構成 | |
第5回 | 第一基本定理(2): 定理の幾何的解釈とその一般化 | |
第6回 | 完備市場(1): マルチンゲール表現/完備性 | |
第7回 | 完備市場(2): 非完備性/完備市場の特徴付け | |
第8回 | アメリカンオプション問題 |
特になし
関根順「数理ファイナンス」培風館
D. Williams, ``Probability with Martingales'', Cambridge
R. J. Elliott and P. E. Kopp, ``Mathematics of Financial Markets'', Springer
レポート課題による.詳細は講義中に指示する.
特になし.
2016年度に大学院に入学した学生は、この科目を教職科目として使うことはできません。
本年度の履修登録に当たっては十分に注意をして下さい。