本講義の主題は、4次元多様体のトポロジーに関するいくつかの基本定理である。ハンドル体の理論に関するいくつかの基礎事項を導入した後、Wallによる2つの定理を証明する。1つはh同境に関するものであり、もう1つは安定化に関するものである。次に、4次元閉スピン多様体の符号数が16で割り切れるというRochlinの定理を証明する。最後に、Rochlinの定理の応用として、Kervaire-Milnorの定理を証明する。本講義は第1クォーターに開講される「幾何学特論E1」の続論である。
・多様体のハンドル分解の原理を理解すること
・Wallの定理とRochlinの定理の主張と証明を理解すること
・Rochlinの定理をホモロジー類の実現問題に応用できるようになること
4次元多様体、交叉形式、Wallの定理、Rochlinの定理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | ハンドル分解とh同境 | 講義中に指示する |
第2回 | Wallの定理(1) | |
第3回 | Wallの定理(2) | |
第4回 | Arf不変量と特性曲面 | |
第5回 | Rochlinの定理(1) | |
第6回 | Rochlinの定理(2) | |
第7回 | Kervaire-Milnorの定理 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
使わない
R. E. Gompf and A. I. Stipsicz, 4-Manifolds and Kirby Calculus, American Mathematical Society, 1999.
A. Scorpan, The Wild World of 4-Manifolds, American Mathematical Society, 2005.
R. C. Kirby, The Topology of 4-Manifolds, Lecture Notes in Mathematics, Vol. 1374, Springer, 1989.
松本幸夫, 4次元のトポロジー(新版), 日本評論社, 2016.
レポート課題(100%).
多様体やホモロジー群などの位相幾何学の基本的な知識を仮定する。