「ベルトラミ方程式」とは,(1次元)複素構造の変形度合いを「ベルトラミ係数」として指定し,それを実現するような同相写像を求めるための偏微分方程式である.「ベルトラミ係数」のノルムが1より真に小さいとき,その同相解は「擬等角写像」とよばれるものになっており,タイヒミュラー理論,クライン群論,複素力学系理論などで欠かせない道具となっている.本講義ではまず「ベルトラミ方程式」の種々の解法について概説する.さらに,複素力学系理論について概説し,「擬等角写像」の著しい応用の数々を紹介する.本講義は、直前のクォーターで行われる「解析学特論E」と合わせて完結するものである.
本講義の目標は,ベルトラミ方程式・擬等角写像の複素力学系への応用を学ぶことである.
・複素力学系理論の基礎事項を身につける.
・擬等角摂動・擬等角手術の原理を理解する
ベルトラミ係数,ベルトラミ方程式,擬等角写像,複素力学系,ジュリア集合,ファトウ集合
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う.適宜レポート課題を出す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 複素力学系の安定領域の分類 | 講義中に指示する. |
第2回 | ファトウ-宍倉の不等式 1 | |
第3回 | ファトウ-宍倉の不等式 2 | |
第4回 | 多項式類似写像とstraightening | |
第5回 | サリバンの非遊走領域定理 1 | |
第6回 | サリバンの非遊走領域定理 1 | |
第7回 | ダビド級退化ベルトラミ方程式 | |
第8回 | 放物的手術(ダビド級退化ベルトラミ方程式の応用) |
特になし
Ahlfors, "Lectures on Quasifoncormal mappings", AMS:邦訳あり
Carleson-Gamelin, "Complex Dynamics", Springer
Beardon, "Complex Dynamics", Springer
レポート課題(100%)
特になし
2016年度に大学院に入学した学生は、この科目を教職科目として使うことはできません。
本年度の履修登録に当たっては十分に注意をして下さい。