表現論は、対称性を研究する数学の一分野である。
この講義では、そのうち群の (通常) 線形表現を扱う。特に、対称群の表現論を以下の 3 つの視点から説明する。
・群や環の表現論の一般論
・対称関数
・組合せ論
対称群の表現論という具体例を通じて、以下の 3 つを理解する事がねらいである。
・表現論の一般論について理解を深める。
・数学で一見異なる分野 (この場合、対称群の表現論と対称関数論) が密接に関係している事を見る。
・代数的組合せ論の初歩的な材料に親しみ、対称群の表現論に付随する量を実際に計算できるようになる。
本講義を履修する事により、以下の知識と能力を習得する。
・対称群の (通常) 既約表現が分割によってパラメトライズ
される事を理解する。
・対称群の既約表現の具体的・抽象的構成法を理解する。
・ヤング図形と、それに関する組合せ論的アルゴリズムを使う事ができる。
・対称関数環とシューア関数に慣れ親しむ。
・リトルウッド・リチャードソン規則やコストカ数などの代数的組合せ論的対象に親しみ、
計算できるようになる。
・対称群の表現論が、対称多項式環の性質と密接に関係する事を理解する。
対称群、表現論、指標、対称関数、リトルウッド・リチャードソン規則、コストカ数、
ロビンソン・シェーンステッド・クヌース対応、ヤング図形、半標準盤、
シュペヒト加群、鉤長公式、フロベニウス指標公式、マシュケの定理、プラクティック・モノイド、圏論化
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義を行う。また、適宜レポートを課す。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 群の線形表現の定義と群環 | 講義中に指示する。 |
第2回 | 通常指標と直交性 | 講義中に指示する。 |
第3回 | マシュケの定理とウェッダーバーンの定理 | 講義中に指示する。 |
第4回 | 誘導表現とフロベニウス相互律 | 講義中に指示する。 |
第5回 | ヤング図形入門 | 講義中に指示する。 |
第6回 | ヤング対称化子による対称群の既約表現の構成 | 講義中に指示する。 |
第7回 | ヤング加群とシュペヒト加群 | 講義中に指示する。 |
第8回 | 15 ゲームとプラクティック・モノイド | 講義中に指示する。 |
第9回 | ロビンソン・シェーンステッド・クヌース対応と鉤長公式 | 講義中に指示する。 |
第10回 | ロビンソン・シェーンステッド・クヌース対応にまつわる対称性 | 講義中に指示する。 |
第11回 | リトルウッド・リチャードソン規則とコストカ数 | 講義中に指示する。 |
第12回 | 無限変数対称関数環とシューア関数 | 講義中に指示する。 |
第13回 | フロベニウス指標公式とピエリ公式 | 講義中に指示する。 |
第14回 | オクンコフ・ヴェルシックの方法 (その 1): A 型退化アフィン・ヘッケ環 | 講義中に指示する。 |
第15回 | オクンコフ・ヴェルシックの方法 (その 2): 分岐則と柏原クリスタル構造 | 講義中に指示する。 |
Bruce E. Sagan, The Symmetric Group, GTM 203,
William Fulton, Young Tableaux, London Mathematical Society, Student Texts 35.
講義資料は、講義中に配布する。
レポート課題の解答状況による。
履修の条件は特に設けないが、関連する科目を履修している事が望ましい。