この講義の目的は古典的な複素解析の現代的な姿を概観することである.
初めに,上半平面上で双曲幾何を導入する.正規族の概念を解説し,リーマンの写像定理を証明する.この定理は複素解析において様々な応用を持つものである.そしてリーマン面を定義し,その初等的な理論を示す.リーマン面の理論は複素解析において高いレベルの基礎となるものである.複素解析の基礎的なものと同様,正則関数はその理論の根幹である.しかし,リーマン面の導入によってその意味は非常に広いものになることが示される.最後に楕円関数と楕円曲線の基本的な部分を解説する.
本講義を履修することによって以下のことが取得される.
1)双曲幾何の理解.
2)正規族の概念とその応用.
3)リーマンの写像定理とその応用.
4)リーマン面の概念の理解.
正規族,リーマンの写像定理,リーマン面.
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 等角写像,特に上半平面,単位円板の等角写像 | 講義中に指示する. |
第2回 | 一次分数変換:分類と性質 | 講義中に指示する. |
第3回 | 双曲平面とポアンカレの円板 | 講義中に指示する. |
第4回 | 正規族 | 講義中に指示する. |
第5回 | 正規族に関するワイエルストラスの定理とその応用 | 講義中に指示する. |
第6回 | モンテルの定理とその応用 | 講義中に指示する. |
第7回 | リーマンの写像定理 | 講義中に指示する. |
第8回 | リーマンの写像定理とその応用 | 講義中に指示する. |
第9回 | 解析接続 | 講義中に指示する. |
第10回 | リーマン面の定義と構成 | 講義中に指示する. |
第11回 | リーマン面上の関数、次数と種数 | 講義中に指示する. |
第12回 | 商空間としてのリーマン面 | 講義中に指示する. |
第13回 | 楕円関数 | 講義中に指示する. |
第14回 | ピカールの定理 | 講義中に指示する. |
第15回 | メービウス変換からなる群,理解度確認 | 講義中に指示する. |
特になし
J. Gilman, I. Kra and R. Rodriguez: Complex Analysis (Springer, GTM 245).
E. Freitag : Complex Analysis 2 (Springer, Universität).
期末試験(70%) およびレポート(30%)
複素解析第一及び複素解析第二を履修していることが望ましい.
特になし