海外企業の研究体制概論I   R&D Starategy & Structure of MultiNational Corporation

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担当教員
岡田 常義  島谷 克義  亀山 正俊  中村 幸紀  村田 耕 
使用教室
集中講義等 (W332J232)  
単位数
講義:1  演習:0  実験:0
講義コード
99308
シラバス更新日
2012年10月11日
講義資料更新日
2013年1月18日
アクセス指標
学期
後期

講義概要

 本講義においては欧米系企業研究開発部門あるいは日系企業の海外研究開発拠点で実務経験を有する講師が自己の実体験をベースとして、日・米・欧企業もしくはそれぞれの地域の特殊性などについて、実際の行動様式、その背景にある考え方、価値観などについてオムニバス形式で話します。
産業分野も、電機・電子、情報機器、自動車(部品を含む)、化学、製薬、通信等幅広い分野をカバーしています。
 話の内容は「理論」でなく実務を通した「実感」が主体となりますので、各人各様の異なった「理解」が出てくるのも興味深いところです。
講義は少人数の利点を生かして、できるだけ「双方向」で進めます。具体的には受講生からの講義中の活発な質問を促し、また講師先生からの頻繁な問いかけで、講義を進めます。

講義の目的

 世界経済が不況に見舞われている現在の環境下でも、1990年ころから急速に進んだグローバリゼーションの動きが止まることはあり得ません。当然我が国もこの環境変化に対応していく必要性があります。すでに多くの日系企業が海外に生産・販売拠点のみならず研究開発体制を逐次構築していますし、有力海外企業も同様に日本での活動を強化しています。これからの時代を担う学生は、海外企業に将来を託そうとする方は無論のこと日系企業に就職希望の方でも彼我の特質、日欧米の企業文化の差異を理解して社会に出ることが極めて重要です。

 そこでこのコースでは海外企業での研究開発に携われた経験をお持ちの方に、実体験をベースに彼我の思考方法、研究開発の進め方についてお話いただき、皆さんが世界で活躍するために地域、産業などにより違いがあることの理解を深め、それへの対応力を醸成する際の一助にすることを目的としています。なお日本企業の海外研究開発拠点で運営に当たられた方々から、運営上の苦労、カルチュアの違いをどう乗り越えたのか、についての話もあります。

講義計画

【講義日程】全5回
10月13日(土) 13:30~15:30 村田講師(すずかけ J232講義室)
11月17日(土) 13:30~15:30 島谷講師(大岡山 西3号館W332)
12月15日(土) 13:30~15:30 中村講師(すずかけ J232講義室)
1月 5日(土)13:30~15:30 亀山講師(大岡山 西3号館W332)
1月26日(土) 13:30~16:00 岡田講師(すずかけ J232講義室)※この日のみ2時間半となります。


【担当講師】
●村田 耕(アジレント・テクノロジー・インターナショナル 製品開発部長)
半導体パラメトリックテスト事業部 製品開発部部長。測定器の開発に従事後、部品事業の日本開発センター・センター長、現事業部のマーケッティング部長などを経て現在に至る。アジレント・テクノロジーはヒューレット・パッカードから電気・電子測定、ライフサイエンスなどのビジネスが分離独立した会社で、事業部制をとっており、日本の事業部は主に半導体のテスト用の機器の企画、開発、製造を担当している。

●島谷 克義(ファイザーヘルスリサーチ振興財団 理事長)
ヨーロッパ系、米国系の製薬企業において研究開発本部長、臨床開発部門統括などの要職を経て現在に至っているが、この間の実体験を通じて研究開発依存度の高い製薬企業における研究・開発活動のあり方などに豊富な知見・見識を有している。

●中村 幸紀(ボッシュ 技術参与)
日産自動車をはじめ自動車関連業界において、車・部品など幅広い最終製品の開発業務を経験している。現在はドイツをベースとする世界最大の総合自動車部品メーカーであるボッシュの日本法人で、技術開発全般をサポートしている。

●亀山 正俊(三菱電機 人材開発センター センター長)
三菱電機人材開発センター・センター長、計算機を使った表示システム、大画面表示システムなどの研究開発に従事し、情報技術研究所のマルチメディア技術部門の統括などを経て現在に至る。この間MIT・メディアラボの客員研究員、米国ボストンの三菱電機米国研究所であるMERL(Mitsubishi Electric Research Laboratories)の執行副社長などを通じてアメリカにおける研究開発活動を当事者として経験している。

●岡田 常義(ポリプラスチックス 常務取締役)
日本企業とアメリカ企業(後にヨーロッパメーカに買収された)との合弁企業としてスタートした世界トップの高機能樹脂専業メーカー における研究開発、事業化推進を通じての海外企業における研究開発活動について実体験が豊富である。同時にこの間M&Aなどによる親会社の変更を度々経験していて、研究開発にとどまらず海外企業の行動様式についても深い理解を有している。


※海外企業の研究体制概論ⅠおよびⅡは、ほぼ同内容です。

教科書・参考書等

*

関連科目・履修の条件等

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成績評価

出席点に比重を置き、レポートおよび講義中の質問・質問への回答などを加味。

※第一回の課題の提出は、下記のプロダクティブリーダー養成機構メールアドレス宛に課題を添付し提出のこと。

メールアドレス:productiveleader@jim.titech.ac.jp
件名:第○回海外企業の研究体制概論I○○先生レポート(氏名)
ファイルタイトル:○○先生レポート 学籍番号 氏名
〆切:講義日の一週間後の同曜日17:00まで

担当教員の一言

 一般的に欧米のPhDと比較すると、日本の大学博士課程卒業生の見劣りする点はリベラルアーツに裏打ちされた信念の欠如です。よく「T型」人間ではなく「Π型」人間を目指せといわれますが、グローバル社会でプレゼンスを示すには「Π型」では不足であり、進化形である「亦型」人間を目指す必要があると考えます。「亦型」は「Π型」の安定度を増すために両側から2本の支い棒を地中に埋め、複数の専門知識をしっかり保持する状況を表します。こうすれば地上に出ている「頭」は揺るぎないものになり、突発事態にも的確な判断ができるようになります。この支い棒の役目を果たすのがリベラルアーツでしょう。コースの履修を通じて受講生にリベラルアーツの重要性を喚起できればと考えています。

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