自然界に存在する物質や現象は,人間が存在している環境条件や目で見える世界とは異なる極端な条件下では,全く異なる性質や振る舞いを示すことが知られるようになってきた。これからのサイエンスは極端条件下での性質を解明してどれだけ物質や現象の本質に迫れるかにかかっている。本講義はいろいろな分野で現在最もホットな話題をその分野の第一線の研究者が他分野の学生にも理解できるように平易に解説する。
この総合科目Cの講義を履修する学生の所属専攻は理学系、工学系、生命理工学系と全学にわたっている。そこで、本講義を担当する諸先生方は、「極端条件におけるサイエンス」というキーワードを基本にして、自分が行なっている最先端の研究内容を基礎から、平易に、講義する。理学系の最新のサイエンストピックスを聴講して、理系の深遠な世界をじっくりと観察する機会にしてほしい。
1.市村禎二郎教授(物質科学専攻)イントロダクション
2.中村隆司教授(基礎物理学専攻)エキゾチック原子核の物理
3.川口博之教授(化学専攻)金属錯体の化学
4.南不二雄教授(物性物理学専攻)顕微分光、近接場分光
5.鈴木俊法教授(京都大学理学部教授)化学反応ダイナミクス
6.沖本洋一准教授(物質科学専攻)物質中の電磁気学とスペクトロスコピー -定常分光から超高速分光まで-
7.斎藤晋教授(物性物理学専攻)ナノサイエンスを拓く量子物理学
8.大森賢治教授(分子科学研究所)アト秒ピコメートル精度の時空間コヒーレント制御 ~量子のさざ波を光で制御する~
9.山内薫教授(東京大学)強光子場科学の最前線
10.楠見武徳教授(G-COE化学)奇妙な海の生物と珍奇な化学物質
11.横山哲也准教授(地球惑星科学専攻)地球外物質から見る初期太陽系の化学進化プロセス
各テーマについてレポートを提出し、その内容で採点する。
各講師には初歩から話しを始めてもらうようにお願いしているので予備知識がなくても理解できる。