新技術の事業化・市場化というイノベーションプロセスのなかで、戦略的ツールとして重要な役割を果たす標準化について講義します。標準化の基本概念、企業戦略として標準化への取り組み方、イノベーションと標準化の関係、標準と知的財産権の関係、企業・社会と認証制度等について、第一線の専門家を講師に招き、講義をしていただきます。
今年度は、特に社会的課題解決のための標準化・認証について重点を置き、新たな標準・認証の仕組みの検討・発表を組込んでいます。
第1回授業(10/3)は16:50-18:20、第2回目以降は16:30-18:00の授業時間です。
新技術の市場化というイノベーションプロセスのなかで、戦略的ツールとして重要な役割を果たす標準化について学ぶ。
標準化の基本概念、ビジネスにおける標準化の重要性、イノベーションと標準化の関係、標準と知的財産権の関係、グローバルビジネスと認証制度の関係について理解するとともに、様々な事例を基に、標準化をイノベーションのための戦略的ツールとしてどのように用いるかについて習得する。
・10/3 標準化とイノベーションの関係 田辺孝二
本講義のねらい、標準化とイノベーションの関係について説明する。
(10/10 授業はありません。)
・10/17 国際標準化の意義 和泉章氏(製品評価技術基盤機構(NITE) 企画管理部長)
標準と認証の意義と基本知識について解説する。
・10/24 ビジネス戦略と標準化:「企業戦略としての標準化」
江藤学氏(一橋大学特任教授)
標準化を利益につなげるための標準化戦略について、事例を基に解説する。
・10/31 ビジネス戦略と標準化:「国際ビジネスで勝つための標準化」
原田節雄氏(桜美林大学特任教授)
ソニー、IEC等での経験を基に、国際ビジネスにおける標準化の重要性、国際標準化
のタイプと効用等について解説する。
・11/7 ビジネス戦略と標準化: なぜ標準化が重要か(討議)
・11/14 イノベーションと標準化 「鉄鋼業の標準化戦略」
大橋 守氏(日本鉄鋼連盟標準化センター事務局長)
鉄鋼業における品質・試験方法などの標準化を事例に、業界としての標準化戦略、
標準化専門家としての活動のあり方について概説する。
・11/21 イノベーションと標準化: 「CD-Rの開発・事業化と標準化」
浜田恵美子氏(名古屋工業大学教授、元太陽誘電技術部長)
日本発のイノベーションであるCD-Rの事業化における標準化を紹介し、新規事業に
おける標準化戦略のあり方を考える。
・11/28 イノベーションと標準化: 「日本発の抗菌検査方法の標準化」
今井茂雄氏(LIXIL R&D本部 主幹、一般社団法人 抗菌製品技術協議会(SIAA)会長)
日本独自の抗菌コンセプトを国際標準化として実現したケースを紹介し、新たな
コンセプトに関する標準化戦略のあり方について学ぶ。
・12/5 企業と認証制度:「企業のリスクマネジメントと認証制度」
足立憲昭氏(イオンエンターテイメント常勤監査役)
企業における品質管理、環境管理における認証制度の活用について紹介し、企業経営と
認証制度の関係について学ぶ。
・12/12 社会と認証制度: 「社会インフラの国際標準化・認証」
田中正躬氏(日本規格協会、元ISO会長)
社会システムに関する国際標準化の意義、国際標準化・認証の戦略的な取り組みについて学ぶ。
・12/19 発表・討議 「新たな標準・認証制度の提案」
・1/9 標準化と知的財産:「標準化と特許」
長野寿一氏(経済産業省国際標準化戦略分析官)
標準と特許の重なる部分の解説、標準必須特許に関するルールの現状と課題等
について紹介する。
・1/16 標準化と知的財産権: 「デジタル時代の知的財産問題」
中村嘉秀氏(アルダージ代表取締役社長)
デジタル時代の知的財産のあり方、パテントプールの運営と課題について考える。
・1/23 標準化と知的財産権: 「企業における知財戦略と標準化戦略の融合」
加藤 恒氏(三菱電機知的財産渉外部長)
技術の高度化・複雑化が進む中で、緊密化・複雑化する標準化、知的財産、独占禁止の
関係を概説し、企業における知財戦略と標準化戦略のあり方について検討する。
・1/30 標準化戦略のまとめ 田辺孝二
イノベーションのためのツールとしての標準化戦略について総括する。
授業時に配布する。授業の1週間前にPDF資料を送付する。
特になし。
授業への貢献(40%)、レポート(30%)、出席状況(30%)により評価。
企業戦略としての標準化を、各分野の第一人者から総合的・実践的に学ぶ授業です。
イノベーション、知的財産、企業戦略に関心のある方にお勧めします。