確率微分方程式(SDE)の弱近似問題の確率論的解法について講義する. 近年, 主として数理ファイナンスの実務からの要請により確率微分方程式の弱近似問題は非常に多くの研究がなされる重要な分野となっている. 数理ファイナンスを実務に適用する場合, 多くの問題がここに帰着されるからである. この問題へは三種類のアプローチがありその全てが実務に於いて重要であるが, 本講義ではそのなかでも最も適用範囲が広く必須のものである確率論的手法(simulation法)について解説する.
SDEの弱近似問題への確率論的アプローチについての基本から最新の成果までを理解し, 自分でそれを適用できるようにするのが目的である.
以下のような順番で講義をする.
(1) 確率微分方程式およびその弱近似問題の定式化について
(2) 高次元数値積分問題とそこへのアプローチ/Monte Carlo法および quasi-Monte Carlo法について
(3) 確率微分方程式の離散化法について
(4) その他, 最新の話題の紹介
[1] Paul Glasserman, ``Monte Carlo Methods in Financial Engineering '', springer (2003)
[2] T. Bjork, ``Arbitrage Theory in Continuous Time (3rd ed.)'', Oxford (2009)
[3] S. Shreve, ``Stochastic Calculus for Finance II: Continuous-time models'', Springer (2008)
[4] L. B. G. Andersen, V. V. Pitersbarg, ``Interest Rate Modeling'' Vol. 1, Vol. 2, Vol. 3 Atlantic Financial Press
その他, 講義中に適宜紹介する.
特にないが, 確率積分(伊藤積分)について知っていることが望ましい.
レポートによる