技術組織論   Strategic Management of R&D Organization

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担当教員
辻本 将晴 
使用教室
月11-12(CIC913)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
36050
シラバス更新日
2011年11月14日
講義資料更新日
2011年9月20日
学期
後期

講義概要

目的
本講義は経営組織論の中でも特に技術経営分野に関連の強い内容について取り上げ、次の狙いの達成を目的とする。

狙い
講義内容の実務への応用は容易ではない。何らかの処方箋が提示されることはない。仮に処方箋のようなものを得たとしても、それをそのまま適用して実務的問題が解決することはない。既存研究が導出してきた原理の理解は事象の深い理解をもたらすが、そのまま処方箋として解決をもたらすことはない。経営事象は極めて複雑で、事象は個々にすべて異なり、常に変化している。問題解決のための一連の施策群は事象によって異なっていて当然である。したがって、経営における問題の解決は次のプロセスによってのみ進展する。
第一段階として、当事者が問題の原理に迫る深い観察と分析、実証的分析と理解を行い、問題の背景にある動作原理(メカニズム)を解明する。そのためには研究能力が必要不可欠である。動作原理に関する既存の研究、ケース、アイデアを個人の中に蓄積していることはこの段階での解明(研究)レベルの向上に役立つ。しかし既存で知られている研究の知見は、そのまま適用可能ではない。インプリケーションが提示されるだけである。あくまで原理が示されており、事象を深く理解する助けにはなっても、個別の問題への処方箋を提示するものではないからである。それは当事者が創造すべきものである。
第二段階として、当事者が第一段階での研究をつうじた理解をもとに課題に対する施策を創造し、その実行を行う。しかし多くの場合はエラーが発生する。初期段階からの複雑な経営事象の完全な理解と完璧な施策は通常はあり得ない。
第三段階として、施策が引き起こすインパクト、反応を観察、計測し、フィードバックによる施策の進化を行う。これにより初めて問題解決は徐々に進展する。しかし施策の実行とともに外部環境も内部環境も変化するので、施策は多くの場合すぐに陳腐化する。一度うまくいった施策は継続される傾向があり陳腐化してもなかなか変更できないという問題がある。
この問題解決プロセスを完遂する能力は研究能力に加えて実行力、(反応の)観察力、(エラーへの)耐久力などの能力から構成される。これらの能力を身につけるために本講義を通して次の3点を学び、体得してもらうことを狙っている。
第一に、経営事象の動作原理を明らかにしようとしてきた研究群が蓄積してきた知見を知り、それらの相互の関連性、体系を理解することである(ただし批判的にみることも必要)。膨大な範囲と量の蓄積があり、日々進展し体系も変化している。受講生が最新の経営事象に興味関心があるのは当然だが、基礎的、原理的な理解がない状態では最新の事象に取り組んでも深い理解は望めない。浅い理解にとどまり、施策が表面的で、対処しきれないエラー(パニック)をもたらすだけになる可能性が高い(その前に実行できない可能性が高いが、もし実行できる立場にたっていたら深刻である)。少なくともある程度の有効性をもった施策を創造するためには基盤を持つことが重要である。
第二に、いかにして経営事象を分析し動作原理を見出しうるかの方法論を知り、自分で使えるようになることである。自らの課題を研究するためには方法論が不可欠だが、経営事象の分析に関する方法論は多様で幅広い。そしてそれぞれ一長一短があり、何らかの方法論を適用すれば常に信頼できるということはない。場合によっては方法論そのものを創造する必要がある。過去の研究は様々な方法論を適用してきた。そのアプリケーションを知ることで自らの課題の分析に新たなオプションが発生する。そのオプションの行使を通じていままでわからなかった問題の側面が実証的に明らかになるかもしれない。
第三に、上記2つを用いて、自らの問題を原理的に解明し、施策群を創造することである。実務的には実行してフィードバックをかけることが重要となるが講義の範囲を超える。

講義の目的

本講義は経営組織論の中でも特に技術経営分野に関連の強い内容について取り上げ、次の狙いの達成を目的とする。
講義内容の実務への応用は容易ではない。何らかの処方箋が提示されることはない。仮に処方箋のようなものを得たとしても、それをそのまま適用して実務的問題が解決することはない。既存研究が導出してきた原理の理解は事象の深い理解をもたらすが、そのまま処方箋として解決をもたらすことはない。経営事象は極めて複雑で、事象は個々にすべて異なり、常に変化している。問題解決のための一連の施策群は事象によって異なっていて当然である。したがって、経営における問題の解決は次のプロセスによってのみ進展する。
第一段階として、当事者が問題の原理に迫る深い観察と分析、実証的分析と理解を行い、問題の背景にある動作原理(メカニズム)を解明する。そのためには研究能力が必要不可欠である。動作原理に関する既存の研究、ケース、アイデアを個人の中に蓄積していることはこの段階での解明(研究)レベルの向上に役立つ。しかし既存で知られている研究の知見は、そのまま適用可能ではない。インプリケーションが提示されるだけである。あくまで原理が示されており、事象を深く理解する助けにはなっても、個別の問題への処方箋を提示するものではないからである。それは当事者が創造すべきものである。
第二段階として、当事者が第一段階での研究をつうじた理解をもとに課題に対する施策を創造し、その実行を行う。しかし多くの場合はエラーが発生する。初期段階からの複雑な経営事象の完全な理解と完璧な施策は通常はあり得ない。
第三段階として、施策が引き起こすインパクト、反応を観察、計測し、フィードバックによる施策の進化を行う。これにより初めて問題解決は徐々に進展する。しかし施策の実行とともに外部環境も内部環境も変化するので、施策は多くの場合すぐに陳腐化する。一度うまくいった施策は継続される傾向があり陳腐化してもなかなか変更できないという問題がある。
この問題解決プロセスを完遂する能力は研究能力に加えて実行力、(反応の)観察力、(エラーへの)耐久力などの能力から構成される。これらの能力を身につけるために本講義を通して次の3点を学び、体得してもらうことを狙っている。
第一に、経営事象の動作原理を明らかにしようとしてきた研究群が蓄積してきた知見を知り、それらの相互の関連性、体系を理解することである(ただし批判的にみることも必要)。膨大な範囲と量の蓄積があり、日々進展し体系も変化している。受講生が最新の経営事象に興味関心があるのは当然だが、基礎的、原理的な理解がない状態では最新の事象に取り組んでも深い理解は望めない。浅い理解にとどまり、施策が表面的で、対処しきれないエラー(パニック)をもたらすだけになる可能性が高い(その前に実行できない可能性が高いが、もし実行できる立場にたっていたら深刻である)。少なくともある程度の有効性をもった施策を創造するためには基盤を持つことが重要である。
第二に、いかにして経営事象を分析し動作原理を見出しうるかの方法論を知り、自分で使えるようになることである。自らの課題を研究するためには方法論が不可欠だが、経営事象の分析に関する方法論は多様で幅広い。そしてそれぞれ一長一短があり、何らかの方法論を適用すれば常に信頼できるということはない。場合によっては方法論そのものを創造する必要がある。過去の研究は様々な方法論を適用してきた。そのアプリケーションを知ることで自らの課題の分析に新たなオプションが発生する。そのオプションの行使を通じていままでわからなかった問題の側面が実証的に明らかになるかもしれない。
第三に、上記2つを用いて、自らの問題を原理的に解明し、施策群を創造することである。実務的には実行してフィードバックをかけることが重要となるが講義の範囲を超える。

講義計画

狙いの達成のため、受講生はテーマごとに準備されるリーディングアサインメント(論文、書籍)を読み、設定された課題に対して一人で取り組み、講義内で発表・議論することが求められる。講義は原則として毎回、リーディングアサインメントを中心とした個人発表と全体議論で構成される。
① 10月3日 ガイダンス、技術組織論の概要、経営組織論の全体像、テーマ希望
② 10月17日 Information Flow in Research and Development Laboratories Information Flow in Research and Development Laboratories
③ 10月27日 Motivation, Governance, and the Viability of Hybrid Forms in Open Source Software Development
④ 10月31日 Managing Creativity A Japanese Model
⑤ 11月7日 日本企業の新事業開発体制
⑥ 11月14日 日本企業の新事業開発体制
⑦ 11月21日 技術戦略と研究開発マネジメント(シスコのA&D、P&GのC&D)
⑧ 11月28日 エコシステムの原理:クライアントからウェブへの持続的ソフトウェア・イノベーション
⑨ 12月5日 ビジネス・エコシステムにおけるニッチの行動とハブ企業の戦略 ―家庭用ゲーム業界における複眼的分析―

中間レポート

⑩ 12月12日 知識創造
⑪ 12月19日 製品開発組織のグローバル化・リバースイノベーション
⑫ 1月16日 Virtual Organization
⑬ 1月23日 ハイテクスタートアップ
⑭ 1月30日 産学連携の組織論
⑮ 2月6日 科学と産業の相互浸透
最終レポート

教科書・参考書等

適宜紹介する

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

グループ発表30%、出席20%、発言10%、中間レポート20%、最終レポート20%

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